CHAPTER3 PART8
「あら…?」
気がつくと、家の近くの木の下にいた。
「今までのことは…夢?
…ううん、夢じゃないはず。
でも、ドレスは婚約パーティー用のだし…」
訳がわからずポカンとしていると、お母さまの声がした。
「アリスー!?
どこにいるのー!?
もう行くわよー!」
「あ、…はーい!」
あたしは、初めの頃よりは前向きだった。
思い切って、断ることにしたから。
─────……………
「おぉ、婦人。
こちらです」
お母さまが、知らない男性と話し始めた。
たぶん、相手の方のお父さま。
「いやいや、この度はうちの息子と婚約していただいて、感謝しています」
「そんな…。
うちこそ、何の取り得もない娘なのに、ありがとうございます」
お互いペコペコしちゃって、嫌な感じ。
「うちの息子は今まで、どのご令嬢とも婚約しないと言い張ってきたんです。
それがどういうわけか、お宅のお嬢さんならいいと言いまして…」
「それはそれは…」
大人の会話はつまらない。
早く帰りたいな、と思っていると、相手の方のお父さまが「あ!」と声を上げた。
「おーい!こっちだ、こっち!」
息子さんが来たんだろう。
顔を上げてその人を確認すると、あたしは息がつまりそうになった。
「……る、か…?」
「おや?
お嬢さんは既にうちの息子を知っていたのですか?」
「いえ、そんなはずは…」
こちらへ歩いてくる人。
それは、ついさっきまで一緒にいた人。
「嘘…でしょ…。
だって……」
(ルカ…?
本当に……ルカなの…?)
零れる涙を見て、その人はクスッと笑った。
「そう、俺はルカ。
言っただろう?また会えるって。
アリス、俺もお前を愛してるよ」
──THE TRICKS OF FATE──
運命のいたずら




