CHAPTER3 PART7-1
「……っ、アリス、下がってください」
真っ赤な薔薇が咲く庭で、帽子屋さんが立ち止まった。
そこに立っていたのは、ジャック。
「…邪魔しないでもらえますか。
老け顔に付き合っている暇はないんです」
「はっ。
邪魔は貴様の方だろう。
その娘を連れていかれると、ジョーカー様がお困りになるのでね」
「ジョーカー様、ねぇ…」
帽子屋さんは、腰に差していた剣を抜いた。
数秒後、ガキンッと、剣と剣が交わる音が響いた。
「ジョーカー、ジョーカーって…。
あなたは一体、何のために生きているんですか!!」
「俺は!!
自分の主だと決めたヒトにお仕えしているのだ!!」
「では、ジョーカーを真の主と思っているんですか!?
違うでしょう!?
あなたにとって…ハートの女王こそが、唯一無二の存在だったはず!!」
「…黙れ!!」
キンッ─と金属音が鳴ると共に、帽子屋さんが少し押された。
「貴様に何がわかる…。
何がわかると言うのだ…!!」
「……、わかりますよ。
あなたはずっと、女王に想いを寄せていたんでしょう…?
そんなの…見ればわかります」
「ああ、そうさ…。
そうだとも……。
でも!!」
また、交戦が始まる。
「女王はお亡くなりになられた!!
ならば!その息子に仕えるのが筋であろう!!」
「それが!間違っていると言ってるんですよ!!」
「なんだと!?」
今度は、ジャックが押されていく。
「ジョーカーに何かしらの魅力を感じたのならまだしも…、あなたは、女王の息子だからといって仕えている!
それは…本物の主従ではないっ!!」
「なっ…」
帽子屋さんの言葉に、一瞬揺らいだジャック。
帽子屋さんは、その隙を見逃さなかった。
「はあ!!」
「ぐあぁっ!!」
苦しんだ後、ジャックは何も言わず倒れ込んだ。
あたしは敢えて、目を逸らさなかった。




