CHAPTER3 PART6-2
「あなたは素直で、温かくて、優しくて…、飾らない笑顔が素敵だったんです…!
なのに今のあなたは…、笑顔が氷のように冷たい……!」
帽子屋さんの訴えかけるような目を、あたしはただ、ジッと見つめた。
「アリス…、思い出してください…。
本当のあなたを……」
(本当のあたし…?)
『僕は白うさぎ。
ワンダーランドから来たんだ』
『ねぇアリス。
一緒に寝てもいい?』
『うまい!
アリス!
パイ、また作ってくれよ!』
『帽子屋のこと、大事にしてあげてね』
『眠れないというなら、昔話をしてあげましょう』
『私がずっと側にいますから』
ポロ…
白うさぎさん。
ヤマネ。
三月うさぎさん。
チェシャ猫さん。
そして……帽子屋さん。
ポタ─ポタポタ──。
今までのことを思い出すと、涙が止まらなくなった。
(バカだわ、あたし…。
みんなから貰ったこの温かい気持ち……、どうして忘れていたの…!)
あたしは、自分で自分を引っ叩きたくなった。
「ごめんなさい…っ、ごめんなさい…帽子屋さん…!」
そこでようやく、帽子屋さんが優しい笑顔を見せてくれた。
「おかえりなさい。
アリス」
「ぅ…うああああん!!」
あたしは、久しぶりに涙を流した。
「…さて、アリス。
いつまでもこうしていられません。
早く城から抜け出さないと」
涙が収まりかけた頃、帽子屋さんがあたしの手を引っ張って部屋から出ていった。
「幸い、ヤマネや三月うさぎが兵士の足止めをしてくれているので突っ切れます」
帽子屋さんは、あたしの手をギュッと握った。
「絶対に、離してはいけませんよ」
その言葉に、あたしは手をギュッと握り返して応えた。




