CHAPTER3 PART4
何時間経っただろう。
扉の前に座っていたはずなのに、気がついたらベッドに寝かせられていた。
枕元には一本の薔薇が置いてある。
(トゲがない…。
ということはジョーカー…?)
あたしは、その薔薇を取って眺める。
(ジョーカーは、何を思ってこのトゲを落としたんだろう…)
考えながら、あたしはしばらくベッドの上でゴロゴロしていた。
─────……………
「……、離しなさい!!三月うさぎ!」
「ぜってえ離さねえ!!
怪我が治ってないのにどこ行くつもりなんだよ!!」
「ちょっと散歩しにいくんですよ…!!」
「嘘つけ!どこにそんな剣幕で散歩にいくヤツがいるんだ!?」
「ここにいます!!」
「うるせー!!」
扉を挟んで、部屋を出ていこうとする帽子屋と、それを止める三月うさぎ。
お互い、一歩も譲らない。
「早く…、早く助けにいかないと…!」
「気持ちはわかるけど、返り討ちにでもあったら!」
「それはそれで構わない!!
その時はジョーカーも道連れに…!」
「アリスはどうすんだよ!?」
三月うさぎのその言葉に、帽子屋は我に返る。
「お前はそれで満足かもしれないけど、アリスは!?
残されたヤツの気持ちは!?
お前…、そんな無神経なやつだったのか!?」
三月うさぎに気づかされ、帽子屋は動きを止めた。
「そう…ですね…。
……どうかしてました。
自分のことばかり考えて…」
「そうそう。
わかればいいんだ。
だいたい、いきなり攻めていってどうにかなる相手じゃねえだろ」
「案外そうでもないかもよ」
「あ、チェシャ!」
2人の話を割って入ったのは、チェシャ猫だった。
「城に入って様子見てきたんだけどさ、警備ユルユルだった。
あれなら余裕で侵入できるよ」
「本当ですか…!
なら今すぐに…」
「今すぐ行ってもいいけど、それには条件がある」
困惑する2人に、チェシャはニヤッと笑う。
「帽子屋限定のね」




