CHAPTER3 PART3-1
「うぅ…迷子になっちゃった」
あたしは途方に暮れていた。
「あっ」
すると、外が見える廊下の端に、うさぎの耳を付けた男の子の姿があった。
「白うさぎさん…?」
「……え!?
あ、アリス…?」
思った通り、白うさぎさんだった。
「やっぱり白うさぎさんだったのね」
再会に喜ぶあたしとは違って、白うさぎさんは落ち込んでいた。
「アリス……、怒ってないの?」
(え?怒ってる…?)
「どうして怒るのよ」
「だって…、僕…!
僕がアリスをワンダーランドに連れてきたから…!」
(あぁ…。
そのことね…)
気にしていたんだと思うと、何だか白うさぎさんが可愛く思えてきた。
「気にしていないわ。
むしろ感謝してるくらいよ」
あたしが笑ってそう言うと、白うさぎさんの目から涙が溢れてきた。
「うう…うわあああん!!」
大声を挙げて泣き出した白うさぎさんを、あたしは抱きしめた。
(きっと、子供ながらにたくさん悩んでたのね…)
大丈夫よ、という気持ちを一生懸命込めて、頭を撫でた。
「白うさぎ、何してる?」
ドキッ
いつか聞いた、地を這うような低い声。
恐る恐る振り返ると、そこには無表情のジョーカーが立っていた。
「ジョーカー様…!」
ジョーカーの姿を見た白うさぎさんはピタッと涙が止まり、震えていた。
「離れろ」
「きゃ!」
言うが早いか、あたしはジョーカーに腕を引かれ尻餅をついた。
「いたたっ…」
「どういうことか、わかっているんだろう?」
だんだんと白うさぎさんに近づいていくジョーカー。
その姿は、明らかにあたしに向けられるものとは違っていた。
怯えて動けないでいる白うさぎさんを見た瞬間、あたしは無意識に体を動かしていた。




