CHAPTER2 PART12-2
「やぁ、アリス」
あたしの名を呼ぶジョーカーの手には、血に濡れた剣がある。
何となく、状況が掴めた。
「ジョーカー…、あなた…!」
「…アリスのためにね、トゲを落としてたんだ」
笑みを絶やすことなく、ジョーカーは言う。
「これが思ってたより手強くてね。
さすがのジャックもダメだったんだ。
だから俺が、自分でトゲを落とした。
薔薇と同じように」
ピュッと血を払い、ジョーカーは剣を仕舞う。
「さぁ、これで君を守るトゲはなくなった。
おいで、アリス」
おいでと言われて、行くわけがない。
あたしは口を閉じて、その場から動こうとしなかった。
数秒後、ジョーカーはスッと笑顔を消した。
黙って左手を上げる。
すると、
「ぐああああ!!!!」
帽子屋さんの、悲痛な叫び声が聞こえた。
見ると、ジャックが、帽子屋さんの腕をあらぬ方向に曲げていた。
「あ…ああっ…いやあああ!!」
(帽子屋さん…帽子屋さん…!!)
視界が涙でぼやけていく。
「まだ殺してはいないけど、彼の命を絶つことは簡単なんだよ。
アリスなら、どうするべきかわかるよね?」
(あたしが…するべきこと…?)
少しの間考えて、あたしは歩き出した。
「いけません…!アリス…!!」
帽子屋さんが声を振り絞り、あたしを止めてくれた。
でもあたしは、これ以上帽子屋さんに苦しんでほしくなかった。
「ごめんなさい…っ」
たくさんの涙を流しながら、あたしはジョーカーの所へたどり着いた。
あたしの涙を拭きながら、ジョーカーは嬉しそうに笑う。
「いい子だね、アリス。
…ジャック、離してやれ」
「はっ」
ジャックが手を離すと、帽子屋さんは力無く倒れる。
「さ、行こうか」
あたしはジョーカーに肩を抱かれ、どこかへ歩いていった。
帽子屋さんが無事であることを、心の奥で願いながら。




