CHAPTER1 PART2
『アリス……アリス……!』
(誰…?
あたしを呼んでいるのは…)
『アリス……目を覚まして…アリス…!』
(待って…今、起きるから…)
『アリス!』
パチッ
(あれ…?)
目が開いて周りを見ると、辺りは花畑だった。
色々なお花が咲いている、とっても綺麗な場所。
(今…誰かに呼ばれてたような…)
「アリス」
「わぁ!?」
いきなり背後から声がして振り向くと、そこには、真っ赤な髪をして、左頬にダイヤのタトゥーをした、威厳がありそうな男の人がいた。
「あ、あの…」
「やっと起きてくれたぁ。
何度呼んでも目を覚ましてくれないから、心配したよ」
(あれ。
思っていたよりも、数倍優しい声をしているわ。
それに、さっき呼んでたのはやっぱりこの人だったのね)
「ありがとう…。
ねぇ、ここがどこだかわかる?」
あたしは、今の状況が知りたかった。
「ここは、君の心の中だよ」
(えっ?)
「心の中…?」
「そう。
わかりやすく言えば、君の夢の中」
(夢の中…。
そうか、あたし夢を見てるんだ。
どうりでここを知らないはずだわ。
…あれ?
ということは、今目の前にいる人は、あたしの夢が作り出した人……よね?)
「ねぇ、あなたの名前は?」
あたしが聞くと、男の人は嬉しそうに笑った。
「俺?
俺は、ロード」
「ロード、ね。
ねぇロード…」
(あっ…)
ロードともっとお話ししようと思ったら、ロードが透けてることに気づいた。
「ロード…体が…」
「…あぁ、本当だ。
時間切れだね」
(時間切れ…?)
「もうお別れなの?」
心配そうに言うと、ロードは優しく笑った。
「大丈夫。
きっとまた、すぐに会えるよ」
そう言って、ロードは光と共に消えていった。