CHAPTER2 PART10-2
ついさっき、気づいたことがある。
「あたしって…帽子屋さんのこと好きなんだわ…」
「ブハッ!!…ゲホッ、ゲホゲホッ…」
「…帽子屋さん汚い」
帽子屋さんは慌てて吹き出した紅茶を拭いた。
「あなたのせいです!
ケホッ……さすがに今のは驚きました。
まさか本人を目の前にして言うとは…」
「思ったことを口にしただけだもん。
いけないこと…?」
首を傾げて聞いて見ると、帽子屋さんはサッと視線を逸らした。
「いけないとは言いませんが…。
こちらの気持ちも考えてください」
(あっ…)
「…ご、ごめんなさい…」
(あたし…相手の気持ちも考えずに何て勝手な…)
急に自分の行動が恥ずかしくなって俯いた。
(帽子屋さん…呆れただろうな…)
しゅん…と明らかに落ち込む。
「でも…。
ありがとうございます、アリス」
(へ?)
意外な言葉にポカンとしてしまう。
「ありがとう…?
それって…」
どういう意味?というのは言わせて貰えなかった。
帽子屋さんは人差し指を立ててあたしの唇までもってきて、ニコッと笑う。
「それについては、また今度」
(………え?
それはつまり……今は秘密ってこと…?)
「えぇー!!ずるいっ!
あたしはちゃんと言ったのに!」
「ずるくありません。
あなたが勝手に言い出したことです」
「返事は決まってるんでしょ!?」
「決まってますけど言いません」
何よそれ!と頬を膨らませ怒っていると、帽子屋さんはあたしの頭を掴んで、ちょっと強めにグリグリしてきた。
「うー…」
何をしてもブーブー怒っているあたしを見かねて、帽子屋さんは部屋を出ていく。
「…いや、それにしても…。
悟った人間ほど怖いものはありませんねぇ」
「へ?
帽子屋さん、何か言った?」
「いや、何でもないですよ」
帽子屋さんが何を呟いたのかは聞こえなかった。




