CHAPTER2 PART10-1
「……?」
目が覚めると、知らない部屋に知らないベッド。
帽子屋さんの部屋であったことを思い出し、すぐに納得するも、一つ気になることが…。
「帽子屋さん…?」
帽子屋さんがいなかった。
「帽子屋さん…どこ…?」
急に寂しくなる。
自分がいるのは確かにこの世界なのに、今までのことや帽子屋さんたちが、みんな“嘘”だったんじゃないかって、意味のわからないことを考えてしまう。
「いや…帽子屋さんどこ…!?」
(おいていかないで…!
一人にしないで…!
あたし…みんなとずっと一緒にいたいの…!)
「いやぁ……!」
ギィ…
涙が溢れ出た時に、ちょうど部屋の扉が開いた。
入ってきたのが誰かもよく確認せず、あたしは走って抱きついた。
「おっと…、アリス?」
帽子屋さんだった。
「うぅ……ぐずっ…」
泣いているあたしを見て、訳がわからないという顔をしつつも、帽子屋さんは頭を撫でてくれた。
「…どうしたんですか、アリス」
「わ…わかんなっ……い……。
寂しく…て…っ」
しゃくりをあげるあたしを見て、帽子屋さんは小さく溜め息をついた。
そして、
「よいしょっ」
「わっ…」
あたしを横抱きにして、ベッドにボフッと落とした。
「ティーセットを持ってきてここでお茶をします。
あなたは少し待っていてください」
そう言って部屋を出ていこうとする帽子屋さんの服を、あたしはすかさず掴む。
上手くしゃべれないから、目で一生懸命「行かないで」と訴えながら。
「……アリス」
帽子屋さんは優しくその手を外し、
ほんの少し微笑んで言った。
「面倒臭いので我が儘を言わないでください」
(がんっ!)
かなりショックだったけど、
「いい子にしててくださいね」
と言われ、また頭を撫でられたので、布団を抱きしめて大人しく待っていることにした。




