CHAPTER2 PART9
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(あら…?)
いつもは夢の中に入ると、真っ先にロードに声を掛けられるのに、今日はそれがなかった。
「ロード?」
立って遠くを見つめていたロードにあたしから声を掛けると、ロードはゆっくりと振り返った。
その表情は、どこか元気がない。
「ロード、どうかしたの?」
「いや…何でもないよ…」
「何でもないって…」
「ねぇ、アリス。
君は今どこにいるの?」
何でもないって、とてもそうは見えないわ!と言おうとしたら、ロードに阻まれた。
(どこにいるって…)
「…あたしは、ここにいるけど…?」
「……そうじゃなくて、現実の世界」
(現実の世界…?)
「あたしにもわからないわ。
だって、知らない世界なんですもの」
嘘じゃない。
ワンダーランドという世界にいるということしか知らない。
「そっか…」
それを聞いたロードは、残念そうに言った。
「…そうだわ!
ロード、昔話をしてあげる!」
「昔話?」
元気を出してもらおうと、あたしは、さっき帽子屋さんから聞いた話をロードにしてあげることにした。
「教えてもらったんだけどね…。
とっても素敵なお話なの!
えっとね………」
あたしは帽子屋さんの昔話を、そのまま話した。
「………で、2人はいつまでも幸せに暮らしました。
めでたしめでたし〜…って、良い話でしょ?」
「……うん」
(あれ……)
あたしが思っていたほど、ロードは感動しなかったみたい。
(あたしの話し方が悪かったのかしら…)
ちょっぴり落ち込んでいると、ロードがこちらを向いた。
「…アリス、その話は誰から聞いたの?」
「誰?えっと…」
話そうとすると、ロードが消えていく。
「あ…もう時間みたい。
また次に教えるわ!」
そう笑顔で言ったものの、ロードが消える瞬間
「チッ」
と舌打ちが聞こえてきた気がして、あたしは固まってしまった。




