CHAPTER2 PART8-2
昔々あるところに、薔薇に囲まれた城に住むお姫さまがいました。
お姫さまは人々から「バラ姫」と呼ばれ、国民から慕われていました。
ですがそのバラ姫には、国民が知らない大きな秘密があったのです。
「姫さま、お食事をお持ちしました」
「いらないわ、下げて」
姫さまは、限られたものしか知らない牢獄に、何年も前から閉じ込められていたのです。
窓のない牢獄で、バラ姫はただ、じっとしているだけでした。
事の始まりは、バラ姫の臣下が死んだことです。
それまでバラ姫は、普通のお姫さまとして、何不自由なく暮らしていたのですが、ある日臣下が、原因不明の病に侵され死んでしまったのです。
もちろん、すぐに姫さまのせいと決めつけたわけではありませんが、次、また次と死んでいく臣下たちは、全員姫さまに関係のあるものでした。
そしてそれは、臣下だけに止まらず、姫さまの友人や親族まで続いたのです。
病気、事故、強盗…。
理由はさまざまでしたが、皆姫と触れあった直後に死んでいったのだと、実の父である王さまが姫さまを閉じ込めてしまいました。
そして王さまがその様子を見て、「まるで薔薇みたいだな」と言ったのをきっかけに、バラ姫と呼ばれるようになったのです。
そんなある日──
「姫さま。
今日から食事当番のものが変わります」
昨日まで食事を運んでいた兵士が、淡々とそう言った。
毎日3回食事を運んでくるだけの兵士など、変わったところでどうもない。
バラ姫は気に掛けもしませんでした。
「失礼します。
今日からお食事を運ぶことになりました。
アンドレイと申します」
アンドレイと名乗った兵士は、元気よく敬礼をしながらバラ姫を見て、バラ姫は冷たい目で、アンドレイを見返しました。
「……!」
アンドレイはバラ姫を見て、酷く驚きました。




