CHAPTER2 PART8-1
「……眠れないわ」
あたしはずっと、布団の中でゴソゴソしていた。
(どうしたんだろう…。
最近は寂しいとか思うこともなかったし、よく眠れていたのに…)
ここ数日の悩み。
それは、胸の動機。
目を閉じると、今日あったことや話したことを思い出す。
三月うさぎさんやヤマネのことは大丈夫なんだけど、帽子屋さんとなると………ドキドキする。
「〜!
だめ!眠れない!」
あたしは堪えられず起き上がった。
少し小走りで部屋を出ていく。
向かう先は…何となく帽子屋さんのとこ。
─────……………
コンコンコン…
「はい、どうぞ」
名乗る間もなく、帽子屋さんから声を掛けられる。
「…お邪魔、します」
あたしは、ちょっと遠慮がちに入っていく。
あたしのよりも少し大きめのベッドの上で、帽子屋さんは本を読んでいた。
帽子を被っていない帽子屋さんは、何だか新鮮だった。
「…で、どうしたんですか?アリス」
読んでいた本をパタンと閉じ、あたしの方を向く帽子屋さん。
「えっと…その…、眠れなくて…」
あたしはもじもじしながら答えた。
それを聞いた帽子屋さんはキョトンとした顔をして「何だ、そんなことですか」と溜め息をついた。
(そんなこと、って……あたしにはとても大事なことなんですけど…)
「アリス、おいで」
ぷくぅっと頬を膨らましていると、帽子屋さんが横にズレて、ベッドの上をポンポンと叩いた。
(ここに来いってことかしら…)
あたしはベッドの上にあがり、そそくさと布団に潜った。
帽子屋さんは上半身を起こした状態で、あたしの頭を優しく撫でる。
「眠れないというなら、昔話をしてあげましょう」
そうして、帽子屋さんはゆっくり話し始めた。




