表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/51

CHAPTER2 PART6-3




母はその記憶─帽子と共に、右目の傷も受け継いだ。


その傷は、祖母が夫を失った時の傷。


祖母の生きる理由でもあった。



そして母が『いかれた女』と呼ばれていたのは、『いかれた帽子屋』の娘だったから。


ただ、それだけだった。





「はぁっ…はぁっ…」



ようやく落ち着いてきたルカは、這いつくばりながら前を見た。


そこには、ついさっきまで“母だった”砂があった。


その中からルカは、母が付けていた眼帯を探し、自分に付けた。


ルカの右目は、もう見えない。



「……これは?」



砂にまみれて、古い本が落ちていた。


開いて見ると、綺麗な字で書かれた日記だった。


母のものではない。




『あの人がいなくなって数年がたった──。

私はいつまで生きるのだろう』


『あの子に罪はないけれど、あの子の面影があの人に重なる…。

あぁ、どうにかなってしまいそう…』


『あの人に似合う帽子を毎日作る。

でも、どれもダメ。

全部失敗』


『作れない。

あの人の為に帽子を作ってるのに、あの人は帰ってこないんだもの。

作ったって意味がない』



そこから、数ページ空白になる。



『ふと思いました。

このワンダーランドは、どのように終わるのでしょうか。

始まりは知ることはできないけど、終わりならこれから見ることはできる』


『困りました。

私の寿命はもうすぐ尽きてしまいます。

何かよい方法は…』


『あの子は…私を恨むでしょう…。

でも…どうか…、このワンダーランドの行く末を……』



そこからのページは途切れていた。



「………」



ルカは、黙ってその本を床に置いた。


そして



「…さて、この離れは燃やしてしまいましょう。

私には必要ないものですし」



そうつぶやいて、出ていった。



こうして現在の帽子屋─マッドハッターは生まれた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ