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CHAPTER2 PART5




「あー!

ヤマネまた俺のケーキ食いやがって!」


「まだ残ってるじゃん」


「ちげーよ!!

あの苺が乗ったやつがよかったんだ!

……ってヤマネェェェ!!

パイまで食べるなァァ!!」


「ふふっ。

仲がいいのね」



今日も楽しくパーティー中。


ヤマネを追いかけ回している三月うさぎさんを見ながら、そう言って笑っていると



「仲がいいように見えるんですか」



と、帽子屋さんにつっこまれた。


それからチラリと視線を動かしてみると、帽子屋さんは紅茶を飲みながらボーッとしていた。


(何か考え事をしているのかしら…)


考えてる姿、すごくかっこいい…なんて思ってしまった。



「…アリス、そんなに凝視されると紅茶を飲む気が失せるんですが」



ガーン…。


(帽子屋さん…見てないようで見てたのね…)


ちょっとだけ落ち込んで泣き真似をしていると、あたしの座ってるイスの隣にスーッと影が出来てきた。


それはやがて人の形をしていき…



「まぁ、チェシャ…」


「しー!アリス静かにして!」



チェシャ猫さんが現れた。


何も隠れなくたっていいのに…と思いながら、チェシャ猫さんと同じように小声で話す。


「チェシャ猫さん、どうやって現れたの?」


「…あ、アリスにはまだ言ってなかったっけ?

俺、実は好きな時に現れて好きな時に消えられるんだ!」


「へぇ、すごいのね」


「だろ?

……って、言いたいのはそれじゃなくて…」



チェシャ猫さんは、真剣な目になった。



「帽子屋のこと、大事にしてあげてね」



(……へ!?)


思いもよらなかった言葉に目を見開く。



「アイツね、あーみえて繊細なの。

毒舌吐くってことは、もうアリスに心を許してる証拠なんだ…。

……だから、本当のアイツを見てやって欲しい」



チェシャ猫さんは、優しく笑う。



「今はわからなくていいから」



と言って。



「チェシャ。

会話は聞こえなくても姿は見えてるんですよ」



帽子屋さんに気づかれたチェシャ猫さんは、やべっ!と言って一瞬で消えてしまった。



その時はまだ、チェシャ猫さんの言っていた意味はわからなかった。






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