CHAPTER2 PART1
(あら…?)
あたしは、たくさんの花が咲き乱れる場所にいた。
(ここ…何か見たことあるような…)
「ア〜リス!」
どこだっけ?と考えていると、後ろから名前を呼ばれた。
振り返って、ようやく思い出した。
「…ロード!」
(そうだわ…!
前にここで、ロードに会ったのよね!)
『きっとまた、すぐに会えるよ』
ロードの言ってたことは本当だったんだって、嬉しくなった。
今度こそ、ちゃんとゆっくり話がしたい。
「ねぇ、ロード。
ロードはお花好き?」
「花?
うーん…、薔薇は結構好きだよ」
「まぁ。
ロードってロマンティックなのね」
「ロマンティック?」
ロードは「何それ?」と言って首をかしげる。
「薔薇の花言葉は『愛』。
情熱的なヒトっていうことよ」
「へぇ。
…アリスは薔薇好き?」
ロードに言われて、あたしは少し迷った。
「……嫌いじゃないわ」
「嫌いじゃない?
好きでもないの?」
ロードが何で何で?というように聞いてくるので、あたしは苦笑いをしながら答えた。
「……ずっと前にね、薔薇のトゲで怪我をしたことがあって…。
怖くて触れないの…」
『うわーん!
おかあさまっ、…ち、ちがでたよぉー!』
痛い痛い泣きじゃくった小さい頃を思い出した。
「……そっか。
…じゃあこうしよう!」
ロードがポンッと手を叩いた。
「次また会った時に、アリスにトゲのない薔薇をあげる」
「トゲのない…薔薇?」
「そう!
トゲなんか落としちゃえばいいんだよ」
実際にくれるかどうかは別として、ロードの気持ちが嬉しかった。
「ありがとう、ロード」
ロードが嬉しそうに笑うと、またロードが透けていった。
「……じゃ、またね。
アリス」