CHAPTER1 PART1-1
この話は、『不思議の国のアリス』が大好きな作者が、名前だけ借りて書くオリジナルストーリーです。
動物も人間化させていますので、ご注意ください!
それでもいいというお方は、どうぞご覧ください。
「アリスー!?
そろそろ時間よー!
早くしなさい!」
「…わかってるわ、お母さま!」
返事を返しながらも、行く気なんてさらさらない。
あたしは、窓からジッと外を眺めた。
あたしはアリス。
最近17歳になった、普通の女の子。
お父さまは既にいないけど、お母さまとお姉さま、家族3人で幸せに暮らしていた。
でも、お姉さまは2年前に結婚。
お母さまと2人暮らしかぁ、なんて考えていたのに、その予想はあっさり外れた。
あたしにも、結婚の話が回ってきたの。
しかも、もう相手まで決まってるって。
信じられないわ。
今日は2人の顔合わせを兼ねて、婚約パーティーがある。
綺麗なドレスを着せられたけど、全然嬉しくない。
だってあたしは……。
「はぁ…。
あたし、素敵な恋がしたかったのに…」
そう。
あたしはただ、自分の選んだ人と恋に落ちて、自分の意志で大切な人と一緒になりたかっただけ。
なのに決められた人とだなんて…悲しすぎるわ。
「あら…?」
家の近くに一本だけ生えている、大きな木の下に、一瞬だけ人影が見えた。
「誰かいなかったかしら?」
もう一度見てみると、また人影が見えた。
「まぁ。
こんな辺境にお客様?
迎えに行かなくちゃ」
あたしはパーティー用のドレスのまま、走って木の下に向かった。
途中でお母さまの声が聞こえた気がしたけど、聞こえないフリをして走った。
─────……………
「あっ」
木の下までくると、ひょこっとその人影が姿を見せた。
「あらら?」
いたのは、あたしよりも少し背の低い男の子だった。
ただ、一つおかしいところがある。
「そのお耳は、飾りなの?」
彼は、ピクピクッと動く、うさぎのような耳をつけていた。