表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウロボラズ外伝1 竜の仮面  作者: Lightning
真実と偽りの章
43/46

真実と偽りの章~ウロボラズ外伝7~

名も無き者は、僕の後ろ——どこか遠くを見つめた。


『闇と光は、同時に存在しながらも交わらない。生まれたとき、闇は心の奥底。つまりは気づかないような程小さく眠っている。しかし、年を重ねるごとに闇は表面に出てくる。決して年を重ねれば暗く、悪くなると言っているのではない』


名も無き者は、ザミアを見た。


『君は長く生きすぎた。人間にしてはな。もちろん、他の人間以上に闇が出てはいる。だが、そなたが悪でないことは、隣に友がいることで証明されておる』


僕は、一瞬ドキっとした。

ザミアは、僕が友であることに否定したい気持ちと、悪人扱いが嫌という意思が相反しているようだ。

その上、悪人でもいいのではないかとも考えているらしい。

僕の目を伺いながら、そっぽを向いている。


『闇とは、いわば経験だ。生きていれば、様々なものを体験する。その体験には、した者にだけ感じる色のようなものがあるのだ。色は交われば深くなる。ざっと見れば黒だが、個別の差がある。海底の闇だって、場所によって違うだろう。それと一緒だ』


自然に、全く同じものは存在しない。

これは、それぞれの経験が違うからである。

だから反発する。だから大切に思うこともある。

僕がザミアを傷つけたくなかったのは、このせいかもしれない。


『生まれた時は光、死ぬときは闇が大きくなるのが生き物だ。だが例外がいくつかある』


誰だかわかるか? というように名も無き者は首をかしげた。


『不老不死の力があるものは、皆この特性をもっている。いくらかいるが、君達にわかるものであれば私。そして四つの翼だ。私を含め、この者達は純粋(・・)な光と闇をもっている。生き物の闇は、多くの色が混じったものであり、純粋ではない。私達は生き物として生きた事がない為、そういった闇を持たないのだ。当然生まれることもない為、光すら持たない。純粋な光と闇とはこういったものだ』


光と闇、五百年前の僕達の世界は闇が多かったような気がする。

長い時を生きた世界。やはり、闇と光のバランスが悪ければ、向かうのは死なのだろうか。


『闇と光のバランスが悪ければ、向かうのは崩壊だよ』


名も無き者は言った。

二回目だが、思考奪取さているようで恐ろしい。


『私達の闇と光のバランスは、強さを示している。どちらかに傾けば多い方を制御できなくなり、周りに悪影響を及ぼす。その力は世界崩壊をさせるほどだ。……君は五百年前のある事件以前から、大量虐殺が行われていたことを知っているかね?』


知らなかった。

僕は首を横に振ったが、嘘ではないかと思った。

実際僕は、事件以前に死んだ知り合いがいない。

現代竜がそんなことまでしたと仮定すれば、最低な奴のレベルを超える。

まずもって、ドラゴンは人間ではない。

ザミア達人間は、機械という助太刀があって食事以外の"殺し"をする。

彼らはそうでないと生きられない、悲しい生き物のように思えた。

しかし、僕達ドラゴンにちょっとした、いざこざあれど戦争は不必要だ。

無駄に体力を消費する上、同属殺しは諌められる行為。

自分に悪い事が、大概跳ね返ってくる。


いや、なぜ現代竜は戦争をしても死ななかったのだろう。

普通は、異常な体力消費で軍は壊滅したであろうに。


『真相に近づいたな。グラジオラスよ』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カテゴリ別小説ランキングNEWVEL小説ランキング小説家になろう 勝手にランキング
一日一回クリックしてくださると、ありがたいです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ