真実と偽りの賞~ウロボラズ外伝~
僕はまず、ザミアを見つめた。
特にこれといった意味も無いが、今からする話を誰とも目を合わせずに語るのが嫌だったからだ。
奴の肌は白い。
あいつの殺した敵の頭の白さとは、また別だ。
頭は、白い色をしている。
あいつは色が抜けて、ぞっとするような白さになっている。
透明のようでもある。だから、内面の暗さを透かし見ているようで怖い。
「何を見ている?」
不機嫌そうな奴と、目が合った。
「そうだな。話すよ」
僕は、自分の知っている事全てを伝えようと決心した。
「僕達の世界は、反乱者によって始まった。狭間の世界という__僕達が生きていける世界同士の間にある空間だ。だが、そこの世界は……」
「こうやって生きていける場所ではなく、規制があった」
奴は「どうだ」という顔をしている。
「その通り。君の言うように、規制というか限界があったんだ。それに嫌気が差した反乱者「セプトクルール」は狭間の守護者という者に申し出た。世界を創ってくれと」
ふと目を上げれば、空はより強く、赤くなっていた。
あの瞬間までにはなしてやろうと思い、焦りが募る。
「ここで揉め事があった訳だが、結局はセプトクルール自身が世界を創り出すことになった。しかし、セプトクルールの創り出せるものは炎だけ。彼は炎を吐ききった拍子に、自分の心臓まで出してしまった。そして、心臓が世界の核となりまとまる」
一呼吸して続ける。
「ここで重要なのが、セプトクルールが炎を吐いている間の事だ。彼は、僕みたいに鱗で覆われていてコウモリみたいな翼のあるドラゴンだった。その鱗がいくつか剥がれたんだよ。そのうちの四つに、彼の血がついた。心臓を吐いた時のものだと思う。四つの鱗は、セプトクルールの求めていた力の源となった」
ザミアが僕を見つめて怪訝そうな顔になった。
「自分に無かった力を、自ら創り出せるのか?」
「無かったわけではないさ。自分では使えないから、他の者に渡したというべきかな。四つの鱗は各々で動きだし、形となった」
「四つの鱗は、変わった。四つの翼に。彼らにはそれぞれ違う力が与えられていた」
「力、自由、夢、癒しだ。彼らは完成した大地に降り立ち、躍ったという。そして僕達ドラゴンが生まれた。そして僕達は、彼らがいなければ生きていけない。全ての力の源だからだ」
「僕達は、彼らと共に楽しく暮らしていた。だが、彼らにばかり頼るのが嫌いになった奴らもいた。五百年前のある事件。それは彼らが起こした反乱だった。正義は変わったんだよ。自由に過ごしたり、四つの翼と共に生きたりすることじゃない。彼らを倒して、今までの友を殺すことになったんだ」
「反乱集団が自ら付けた名は、現代竜軍だ」




