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ウロボラズ外伝1 竜の仮面  作者: Lightning
真実と偽りの章
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~真実と偽りの章~ウロボラズ外伝

岩棚からの風が、頬を撫でる。

ザミアが僕らの世界に来ることを同意した後、私達は開戦時の話をしていた。





捕らえられた僕はまず、ザミアに戦争に参加する理由を聞かされる。クライトの話だ。

すると、強制的に町へ入れられた。


「おいザミア、遅かったじゃねぇか。……あ、クライトはどこだ?」


町に入ったとたん、こんな言葉を誰からも掛けられる。


「殺したよ」


訊いた人に対して、端的にザミアは答えた。いつもとは違う冷酷な目に町の人はたじろき、僕達の周りから遠ざかっていく。


「早く行くぞ」


ザミアが向かって行っているのは、テントをいくつも重ねて巨大化させたような場所だ。

そこにお偉い様がいるらしい。


僕達から少し離れた所では、あちこちで騒ぎが起きていた。

何度も助けを求める叫び声が、途切れるのを聞く。

国王が「人殺し」を町に入れた為の騒ぎだろうと予測できる。とはいえ、町の人は最低限の判断力と平常心をとどめていた。


だが、それは圧力政治に対しての反応だ。

町の人は生気を失ったように立ち尽くしたり、座り込んでいる。


政治など、信用ならない。

誰も守ってくれない。

こんな世界に喜びは無い。


現実感をなくしているような表情から、そんな心の声が聴こえてくるようだった。

自分の事、自国の政治に関心をなくしてしまった場所ほど悪いものは無い。

反対意見を押しつぶしてしまうのは、危険な土地の証拠だ。


そんな事を考えていると、積み上げテントの場所に来ていた。

戦士になる為に来たであろう「戦闘狂」が溢れ返っている。僕達は、なんとなく溶け込めずにいた。

殺気だっているのに、誰も殺さない。不思議な力に抑えられているようで、ねっとりとした空気が流れていた。


すると、ある背の高い男に声を掛けられる。


「あんたら、自分は人殺しじゃないって思ってんだろ。オレらの醜さをみてな。……だがな、残念ながらオレらとあんたらは同じ仲間なのさ」


彼は高らかに笑いながら仲間(・・)のもとに戻った。


吐き気がしてくる。ザミアは顔が土気色に変っていた。

僕達は少し人から離れた所にある、石垣に腰を下ろした。

何故こうまでしてザミアは戦おうとするのだろう。


その疑問を解く間もなく、テントの奥から三人の人が出てきた。

恐らく中心が国王、左右は護衛だ。

彼らに気づいた前方から、だんだんと静まっていく。


石垣からは、全体がよく見える。

大型屋台が一つ入る幅ほどの道が、積み上げテントの正面にある。

その道が全て殺気と殺人鬼で埋まっているのだ。


国王らしき人物が、片手をあげた。


「諸君、よく集まってくれた。この町の周りは荒地だ。そこを超えてやってこられたのだから、諸君の力は並のものでないと確信している。だが、こんな小さな町では全員を養うことはできん」


ざわめきが、人々の間に走った。

だが何かが違う。驚きではない、理解出来ていない訳でもない……期待だ。


「諸君には、これから戦ってもらう。生き残った者だけが戦士としての人生を得られるのだ」


雄叫びが、戦闘狂からあがる。しかし、地獄の底から叫んでいるように聞こえた。


「なるほどな」


ザミアが呟いた。


「あれは良くできたニセモノだ」


僕はどういう事だと、ザミアの方を向く。


「変装でもしてるんじゃないか? 国王の雰囲気も話し方も変っている。あいつが国王を殺して、それに成りすましているんだよ」


「目的は?」


「さあな。人殺しグループのリーダーだったとすると、新しく殺し場をつくる為なんじゃないか?」


最低だ。それ以外、何とも言えない。


「おお」

と人殺しの間から声があがる。

前方の数人が倒れているようだ。


「国王の許可なく入るテントに入るとはな。確かに殺し合いの会場はテント内だ。……まあ良い。皆、テントに入るのだ。入った瞬間が戦いの始まりだ!」


そうして、僕達もテントの中に入った。

あまりの雑踏に、ほとんどの事を覚えていない。

ただ、人の死体の上に、また人の死体と積み上がっていた。そして、その上に僕達を含めた数十人が立っていた事は覚えている。





そんなことを、振り返りながら話していた。


「正義が変わっていった。殺さない事から、人殺しに。お前らの世界は、変わらないのか? 正義が」


ザミアは岩に背をもたせかけながら訊いてきた。


奴とはかなり長い間過ごしてきたが、未だに謎な部分が多い。

例えば今回のように、他者の痛い所を見事についたい質問ばかりすること。


「変わるよ。ちょうど、君が来た頃に変わった」


僕は、あの事件について語り出した。







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