真実と偽りの章~ウロボラズ外伝~
お久しぶりです。
しばらく離れていたので、誤字脱字があるかもしれません。
でも、本気で書いてますので、厳しいご指摘お待ちしております。
私達は森の中を翔けた。左隣にはフィーナ、右後ろにガルダがついている。
私達はただ、ディレーズのいる所へ突き進む。
すると、懐かしいあの木の樹皮が見えてきた。
優しくて、力強い。そんな思い出に浸っていた時、私達は雷のような轟く声に動きを止めた。
「ディレーズ!」
私は確認もせずに、声で判断していた。どこにいるのだろうと、ベールをすぼめて真上に上昇する。
「またおまえらかぁ!」
怒号とともに現れた草色の巨体。ディレーズだ。
しかし、彼の優しい面影は微塵も無く、あるのは敵意のみである。
だが、彼の目は瞬時に変わった。メルケーンを見て、フィーナを見つめ、私を眺めてから戸惑いの色に変わったのだ。
「なぜだ。なぜ……」
ディレーズはその場に座りこけてしまった。
「夢が現実になっている」
「夢が現実!?」
私達はそろってオウム返しをしてしまった。
夢とは、一体何のことだろう。
「君たちはもう死んだ。いや、消えてしまったはずだ。も、もう戻って来ないと言われたのだ。そうだ。その通りだとも、しかし……」
彼の言葉こそ消え入りそうだった。
どういうことだ。私とフィーナがディレーズのお世話になった時、そんなことは一切口にしていなかった。
「私達が行ったのは、偽りと真実の世界……」
フィーナが上の空で呟いた。
——偽り、真実、本当、狭間。この中に夢は入っていない。——
「そんなもの知らんぞ。何の事だ」
フィーナの呟きにディレーズが応えた。
「偽りは嘘の世界で、真実は世の中の悪い所を集めた場所だよ」
ガルダが翼を動かし、自信がなさそうに言う。
「いや、世界の話はしなくていいんだ。私は現代竜に襲われて、倒れたんだよ。それで真っ暗になった。わかるか? 死んだか気絶したかのどっちかだよ。そしたらもとに戻ったんだ。本棚の木の中にいて、いつも通り植物達がいて……。お前らがやってきたんだよ」
ディレーズは言葉につまった。
「やっぱ偽りの世界だよ」
メルケーンが言い張る。
「だから何なんだ。それは」
ディレーズが苛立ち紛れにむっくりと立ち上がった。
ガルダは驚いて、一回り小さくなりながらも説明する。
「嘘の世界だよ。理想の世界って感じかな」
理想と聞いた瞬間、ディレーズはガルダを睨みつけた。
「では私がただの幻想を抱いて、森の仕事を怠けていたというのか」
「君がどうしていたかは知らないよ。でも……」
ガルダの声は、尻すぼみになっていく。
「言うならはっきり言え」
ディレーズが我慢の限界にきているようだ。
それを察したガルダは、くちばしが割れるほどしっかり閉じて黙りこくった。
私は言った。
「ディレーズは怠けてない」
「やめ!」
鋭い声が、左側から聞こえる。
そこには、フィーナがいた。
「グダグダ、グダグダ。言っていたってらちが空かないじゃない」
体が森の外に向き出したガルダを、威圧するようにフィーナが言う。
「それぞれ、今まで見てきたことを言ってみましょう。そして共通する場面があるなら、それがどこなのか赤い鳥に答えてもらいましょうよ」
理に適なっていた。
私達は感心して、呆然としてしまう。
「私は……」
いち早く立ち直ったディレーズが口を開いた。
「そう、その木の中にいたんだ。何が何だかわからなかったが、きれいな森があった」
ディレーズは息を落ち着かせて、夢見るように言った。
「昔の我々の森のようだった。でも、小川が無かったりしたがな」
私とフィーナは顔を見合わせた。
「青龍のせいだったんだ。まさかあいつまで奴らの味方だとは思っていなかったんだ」
「私は戦ったんだ。そしたら、あんた達が来た」
思いつきが確信へと変わってくる。
「助けてくれたんだ。私は夢だと思ったさ。でも、あんた達があいつを倒した」
「私は以前からつけたいと思っていた名前をつけたんだよ」
「鋭い角を持ったあんたは、先の尖った石の名前——スピネル。それからあんたは翼をはばたかせて、風圧で土を耕した事があったろう。だから畑——クリュという名前をつけたんだよ」
フィーナは首を傾げた。私達は荒野で出会った。それ以前は知らない。森の中でそんなことをした覚えはない。
「だが地獄死人という奴らが来て、あいつらは別の世界へ言ってしまった。そんなものが存在するとは思っていなかった。でも見事に消えてしまった」
ディレーズはうつむきながら言う。
「クライトという木の精がいてな。そいつが炎で地獄死人をたおしたんだ。でもあいつは泣く泣くで……。こんな悲しいことは無いと嘆きながらも、仕事を手伝ってくれたよ」
ディレーズはここでため息をついた。
「何日か経ったさ。私は眠ってしまったのか、正直よくわからないが、気がついたらここにいたよ。いや、普通に目覚めたまでだ。なのに、空気が変っていたんだよ」
私達は無理に説明するのを抑えて、次の言葉を待った。
「そして、君たちが現れたのだ」
空が赤みを帯び始めていた。
夕刻までは、短い。




