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ウロボラズ外伝1 竜の仮面  作者: Lightning
真実と偽りの章
31/46

~束縛~囚竜

予告通り、新キャラです。

是非、毒舌を楽しんで頂きたいところですが、それより重要な部分が沢山あるので、ちゃんと見逃さないようにしてください。


最後の部分は、「えっ」みたいな。

まあ、ヒントはガルダとガルド1にあります。

読まなくても、覚えてくれてると思うけどな。

ロベリアは有頂天だった。もう、クライトから抜け出す事が出来るのだ。

と、その時、胸部に鋭い痛みを感じ、木の上で立ち止まった。閉じ込められた時と同じ痛み。

あの時は困惑の中にあった。そして、それは絶望というものを自然に呼び寄せてしまったが、今は違う。

これで、くだらない人間の心の役目を終え、本来のドラゴンとして生きていけると、ロベリアはこの上無い喜びと満足感に浸っていた。


私は気付けば雲をすり抜け天の中にいた。向かう先はもちろん、本拠地……ガルドの居る所だ。

__ロベリアの冒険が始まった__


懐かしい岩山、懐かしい青空。広大で静かな草原から、岩山の先が現れた頃、私は本当に興奮しきっていた。

遂に、現代竜軍の願いが叶えられる。

死にかけのソーマの森を通り越して、私は本拠地の玄関とも言える場所にホバリング(空中停止)した。

しかし、誰も出て来ない。

「誰もおらんのかぁ!」

私は怒って叫んだ。

すると、予想に反し、私の声は岩山のトンネルに空虚をたたえて反響してではないか。

まさか、現代竜軍が滅びる筈があるまい。

私には、文句をつける為に、待たせた時間を数える癖があった。

「1……」

何も起こらない。

「2……」

誰かのおらぶ声が聞こえた。

「3……」

何者かの行動するガチャガチャした音。

「4……」

遂に見え出した、よもぎ色の鱗達が慌しくやってきくる。

「5……」

牙を剥き出してやってくる。そして、

「ロ、ロベリア様!?」

五頭の衛兵ドラゴンがやって来て言った。

「当たり前だ。それ以外誰がおる。五秒も待たせておって、何があったのだ」

私のあまりの剣幕に、五頭はそっくり首を潜めてしまい、挙句選ばれた一頭が怖る怖る言った。

「あ、あの……、ガルド様がお戻りになられて……」

私はガルドと聞いた瞬間に、翼を広げて、玄関から続く長いトンネルを突き進んだ。

「ガルドは中央にいるんだな」

私は振り向きもせずに、飛びながら確認する。

「はいー」

遠慮したような、後をひく声が聞こえた。間違い無い、ガルドは中央の広間にいる!


**********


じめじめとした、暗い監獄。しかし、現代竜バカドモの騒ぐ声や、潜めたつもりの重要会議内容まで筒抜けという賑やかな監獄だ。

しかも、全身を鎖で雁字がらめにするだけという適当なザマ。私を一体なんだと思っているのだろう。

監獄とはいえ、中央の大広間とつながった区画だ。逃げようとすれば一本道。脳みそ本当に入っているか、叩いて確かめてみたい。

それでもって、今日の騒ぎ方は最高記録更新ものだ。ガルドが戻って来たとかなんちゃらで。あの愚か者が人間に翼取られて墜落した時、久しぶりに笑い転げものだった。まあ、この鎖で笑い転げる事なんざ出来なかったが。ついでにさっさと殺しとけよっていうのが本心だが、中々悪くはなかった。

で、その蛇が翼をつけて舞い戻って来ました。一体何が万歳なんだろう。自分より強い奴が嫌いだから捕らえろだなんて。そんな奴といて何がいい。

そして、あの聞きたくない、何と言うか気に触る、耳の腐るような声で、あいつはとんだ戯言を喋りだした。

「待たせてしまったな諸君。オレ様は一次プラン通り、メルケーンを引き連れてこの世界まで来た。だが、運悪くセラフィナイトどもに逃げられ、合流した可能性がある」

突然、ぎゃんぎゃんと討論が始まる。

「うるせえ。バカ、クソ、阿呆、マヌケ、雑魚、黙れ」

大賛成とい気分。反響があるせいで、余計にうるさい。耳が倒せない程顔にまで鎖が巻き付けてあるので、なお最悪。

ガルドが言うと、全員一斉に静まり返った。

「だが心配はいらん。なんとかなっているはずだ」

なんて適当な。これでは、阿呆な奴らでも信用できないと思うのは当然の事だぞ。

しかし、

「ガルドー」

甲高くて、悪い意味で耳に響いてしまう声。これの発信源はどう考えてもアイツしかいない。

「ロベリア!」

いかにも有りそうな展開。このまま幸せの時を過ごすんだろう。どうせなら、本当に幸せになって私の事を忘れて欲しい。

何故忘れて欲しいか。私は鎖で動かせない頭の代わりに、想像を使って自分の腕や脚を思い浮かべた。

長い長毛でいくらかは隠れているが、裂傷や火傷、えぐれた痕はほぼ全てに及び、逆に元の皮膚が浮き上がって傷に見える。それは全部奴らの仕業だ。

「ねえ、何があったのガルド。なんだか暗い雰囲気じゃない」

「いや……。まあ、あの二頭を逃がしちまって……」

「あの二頭って、セラフィナイトとかいう奴らの事?」

しばらく間があった。

「なら心配ないわ。私、あいつらに偶然会ったの。で、王様は悪い奴だからその世界を崩壊させなさいって言っといてやったわ。フフフ……同士討ちは間違い無しよ」

喉を鳴らして賞賛している。まったく奴らの考えは逐一厄介だ。

野太いガルドの声が発せられた。

「今こそ立ち上がるのだ。現代竜諸君!」

「現代竜万歳! くたばるがよい腐った翼よ! 我々は、力という束縛に囚われず、世界を立て直す!!」

続いた現代竜軍の叫びは、世界が音をたてて崩れるようすを表しているようだった。



さて、一体どうなるのでしょう。

新キャラは鎖で雁字がらめなのに、外の戦闘の様子が何故わかったのでしょう。

これらの謎は後々わかりますんで。

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