~冒険~セラフィナイトとフィーナ8
『えーと。本当の世界ですね』
あいつは鎌首を持ち上げた。打たれたら即死だ。
敵の地上兵は既にいくらか死んでいる。どうでもいいと言う訳だ。逃げ惑ったあげくに死ねというのか。
「問題ない」
ガルドは自信を持って言った。
「あいつらの目的はこの世界の征服。あの兵は本隊じゃない」
本隊?
「兵は牽制。化けモンは敵の排除。あと、面倒くせえ雑魚の始末」
「化けモンは力を使い果たして死ぬ」
「その後、征服後の世界を管理する本隊が入る」
その時、黒い渦が近づいてきた。
「あれだ」
又もや現れる黒い帯。空中に橋が架かっているかのように歩いて降りて来る。
「だが、本隊が無くなれば、今回の作戦は無意味。奴らは撤退を余儀なくされる」
ガルドの言葉が途切れた瞬間。
「ケーン」
赤い炎のようなものが飛び上がった。そいつは、そのまま上昇、加速して、兵の行き着くであろう場所に向かう。
それを見た怪物は動きを止め、消えた。
王様。あの血色の奴は、炎に向き直った。
炎は、あの見えない橋に突撃を開始している。
血色は飛び上がり、空に向かって回転。ドラゴンの翼は巨大な影と化し、炎の方へ延びる。
炎は懸命に逃げる。
パリーン。
小気味のよい音をたてて、それは崩れる去った。
「ケー…………」
続いて、影の翼は炎を打ち付け、小爆発が起きる。翼もダメージをもろに受け、血色の奴も倒れた。
すると、どうなるか。黒い兵は散り散りになって、殆ど死んだ。メサイアは跡形無く消えた。
残ったのは、箱と二羽の鳥。
ガルド達は彼らに近づいていく。いきなり襲われないように、まず血色の奴を確認する。……息がある。死んでいないのだ。
しかし、殺そうにも首は硬い鱗に覆われ、それ以外の部位も硬くて、殺すことはできない。
背中を向けないように旋回し、炎の鳥に近づく。彼も死んでいなかった。そして、鱗。
「あれ、これって……」
フィーナが口を開きかけた時。
「おい、そっちは危険だ。こっちに来い」
とガルドが言った。彼らは仲間じゃなかったのかしら。と、私達は顔を見合わせる。
私達は急いで上昇し、岩山の方へ逃げる。また、あの翼が出てくるのだろうか。
ガルドは呟いた。フィーナ達には絶対に聞こえない小さな声で。
「あいつらを会わせてはいけない。絶対に」
『王様ってやつですかな』
私は起きた。
隣には赤い鳥が倒れている。翼は片方がひしゃげて、どうにもならない。ダークホールは遥か頭上。
さて、どうやって戻ろうか。
私は残り少ない力(魔力)を使って、ダークホールへ向かった。




