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ウロボラズ外伝1 竜の仮面  作者: Lightning
真実と偽りの章
21/46

~冒険~セラフィナイトとフィーナ8

『さてと、本当の世界ですよ』

「じゃあどうするのよ」

苛立ったフィーナな声。

「倒す」

ガルドは即答した。無茶苦茶だ。

「いざとなれば、ここに戻ればいい。そう簡単には攻めらんねえ」

滝の方へ、元来た道を辿る。

「フィーナ、何でここに来たの?」

「狭間の世界からこっちに飛ばされたのよ。それで何となくここに逃げたの」

「どうやって滝の中に……」

「滝……?」

またあの重い音が響いてくる。

「本当だ。どうやって入ったんだろう。私……」

ガルドは牙を光らせた。

水の幕が取り払われ、現れたのは黒い帯。

「あいつ……」

フィーナは唸った。

「いえ、違うわ。地獄死人じゃない」

私は言った。

彼らはよたよたと歩かず、ディレーズの言ったような“人間”の姿をしている。彼らはキョロキョロ辺りを見回しながら、岩山の方へ行進していく。

私達を探しているに違いない。

ガルドが先陣切って飛び出した。

二頭のドラゴンが続き、

咆哮。

滝も応えて大きな音を出す。

不意を衝かれた敵。すなわち聖権軍は動きを止めた。

「今よ!」

フィーナが言った。

私達はここぞとばかりに、敵陣に攻め込む。しかし、上空に来て唖然となる。

さっきまで閑散としていた平野が、視界に入る限り、兵士に埋め尽くされている。

なんて無謀な事をしたんだ。今更ながら、後悔した。

でも、ガルド達は何も感じないのか、素早く攻撃に移った。

ドラゴンは二手に分れ、火炎を放射する。あの滝のように流れる熱の塊。

ドラゴンは外側から周回し、追い詰める。

ガルドは地上に降りて、逃げ延びた奴を蹴散らしている。

私達も動こうとした。その時。


無音という大いなる音を従えて、空から落ちて来る金。

セラフィナイトには見覚えがあった。

「偉い人だわ!」

皆、静止して上空を見上げる。炎に囲まれた者達もだ。

「オオオオ……。万歳。王様万歳! 勝利の栄光は我らに」

黒い帯はざわめき出した。仲間が焼け死のうと、自分が死のうと、声を巨大化していく。

あまりの音に、耳が痛い。撤退せざるを得ない。

しかし、その音は突如として消え去る。箱が着地したのだ。

人間の燃える音だけが鳴っている。

ここに居る全ての者の視線は、あの箱に注がれていた。敵は期待に満ちた目で、それを見ている。

私は悪寒が走った。とてつもなく、嫌な予感。

物凄く、強くて、繋がりのあるような力が二つ。そしてもう一つ、殺気を放つ者。

ドラゴン達もこちらに戻ってきた。

視線を戻す。すると、偉い人が出てきていた。

血。

最初の印象は、それだった。

黒が混じったような赤。翼は羽ではなく、ドラゴンのもの。鳥なのだ。人ではない。

そして、首には虹色の鱗。

『敵はワンワン喚いているようですけど、セラフィナイトとフィーナは気づいていませんね。そいつに引き込まれたみたいですね』

続いて、出てきたのは、

「メサイア!?」

いや、予想はしていた。何か隠しているとは思っていた。だが、まさかあんな悪い奴と一緒。そして、多分悪い奴味方についているなんて、思ってもみなかった。

「知っているのか?」

ガルドが聞いてきたが、思うように口が動かない。

スッ。そんな音が聞こえたような気がした。メサイアは一瞬にして消えた。

「ギャオオオウ」

代わりに現れたのは、怪物としか言いようの無いものだった。

その目は殺意に満ち、爛々と光っている。頑丈そうな鱗。

ドラゴンを優に越す大きさ。飛翔能力は無いようだが、頭は同じ高さにある。

黒い、つやつやした額。奥まで裂けた口。何重にもなる牙。毒の有りそうな細かい棘の数々。

全体としては蛇の形。

そう、メサイアの腕に描かれ、私が狭間の世界に行く寸前に見た姿。

ごてごてした鱗は、どうも未完成な感じだ。そして、カランカランと空虚な音を作り出す。優しい、物悲しい音色。

それは苦しみのようだった。


*********《人間世界》


「あっう」

「どうしたザミア」

他の部隊は行動を開始している。僕らの出幕が後とはいえ、こんな所でまた発作が起こるとは。

ザミアの顔は一気に白くなり、唇は紫になっている。何度も弱々しい力で、がむしゃらに心臓の辺りを掴んでいる。

彼はここ数年、これが発作的に起こるようになっていた。

僕としては、ソーマの木を利用した副作用だと思う。一つの世界を支え、調和している木を私利私欲に使ったのだ。これくらい当然だろう。


ザミアは見ていた。

平和な時代、野原、花畑。黒髪、深い緑の目。

戦争の幕開け。大砲、銃弾……。

ゴオオオン。

あの時と同じ大砲の音で現実に引き戻される。

「何なんだ。あの時って何だ」

自分でも無意識に思っただけだ。記憶なんてない。それに無性に腹が立つ。俺は非情の兵士だというのに。




今回、内容面でも、改稿を進めています。

重要な言葉を付け足していくので、チェックしていってください。

時間のあるときでいいですよ。

解らなくなった時にチラ見ぐらいでいいと思います。

でも、最初から読み直したほうが面白いかも。伏線が増えてますからね。

しかし、まだ途中の段階なので、何度も読み返すのは億劫でしょう。

全て改稿しましたら、また連絡するので、読み直してみてください。



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