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ウロボラズ外伝1 竜の仮面  作者: Lightning
真実と偽りの章
20/46

~冒険~セラフィナイトとフィーナ7

今日はちょっと長めかな。

たくさんキャラがでまーす。

真実の世界のように、いつの間にか入っているといことは無かった。

あの黒い渦が現れたのだ。私は恐るながら、それを潜った。


引っ張られる。

回される。

衝撃。

そうすると、何処かへ飛ばされる感覚。


輝きの無い世界。閑散とした雰囲気。そして、殺気。

さっと下を見る。眼下には殺伐とした荒野。偽りの世界と似ている。

何も無い。

いや、前方の岩山の方角から何かが飛んで来る。

それは大きくなってきた。姿も、空を叩く音も。

私はホバリングした。ホバリングとは、空中で停止する飛び方だ。

先頭に一頭。そこから広がるように二頭。敵意は無いようにみえる。さて何者か……。

雲の隙間から覗く光に反射する群青。

そうだ、森で出会った蛇。世界を知りたくないかと言った奴。しかし、飛べない筈だ。何故蛇が空中に浮かんでいる? そして、あの二頭の羽ばたきは……ドラゴン?

月夜にフィーナとディレーズと見た。あの時は確か三頭だった。懐かしい。フィーナ、ディレーズに会いたい。

彼は間違い無く私の前に空中で止まり、あの声で言った。

「こっちだ」

導かれるままに進む。両サイドはドラゴンが囲み、眼前には巨大な蛇だ。

岩山を正面とすると、左側に進んでいる。

そこは岩がごろごろしていて、その間をせせらぎが流れている。閑散としてはいるが、綺麗な所だ。悪く言えば、不気味だ。

体に振動が加わる。音より先に届いたそれは、小刻みに重く伝わってくる。

やがて、それと似た音が現れる。

前方には、水のカーテン。大量の水が岩の上から降り、カーテンとなって直下の大きな水溜りに注がれる。

先頭の蛇が降下を始める。水のカーテンが目的地のようだ。

水溜りは、私達に応えて波をつくる。広がる。ぶつかって、砕ける。その囁くような波の奥に、自ら光る石。そして、金。

そうよ、クライトの言っていた滝だわ。とすると、青龍がいるのかしら。

ここで、ドラゴンの一団は止まる。

蛇が振り向いた。

「申し忘れたな。オレはガルドだ」

ガルド。エレスチャルの言っていた奴だ。この蛇の事だったのか。

ガルドは滝に向き直り、牙を青白く光らせ出した。

すると、滝は開いた。左右に分かれ、どうぞ入りなさいと言っているようだ。

奥には暗いごつごつしたトンネル。所々にある、白く緑がかった石。

彼らは迷わず進んで行った。私も急いで続く。

「ドーン」

豪快な水しぶきと音をたてて、滝は閉まった。

だいぶ暗くなったが、見えないほどではない。

水の反射と石の反射が合間って、光のちらつく様子はとても幻想的だ。

ジャリ、ジャリ……。

湿気を含んだ砂を踏み、進む。

「誰?」

少しキツイような棘のある言い方。

「フィーナ」

私は喜びのあまり、ドラゴン達を素っ飛ばして駆けた。ずっと先にいるはずだ。

「誰よ」

怒りのこもった声。私はここで、ふと足を止める。

「フィーナ……。セラフィナイトよ」

「セラフィナイト?」

上げ調子で、反射的にフィーナは繰り返した。

遠慮がちに砂利を踏む音が近づいてくる。真っ白な顔が覗いた。私はにっこりと微笑む。

フィーナの疑いの目は消えた。しかし、また直ぐに睨み付けてくる。

「出口を塞いだのね」

「どういう……」

「ふざけないで」

殺気まで感じられるほどの言い方。

「後ろの奴、ディレーズをお前呼ばわりした奴よ。いい奴じゃない。敵だわ」

その勢いに多少飛び退いた。そして、とっさにガルドを見る。

「でたらめはやめろ」

ガルドが体をくねらせて仲立ちになった。

フィーナは後ろを確認しつつ、距離をとる。

「我々の敵は今から来る。真実の世界のお偉いさんだ」

私は迷った。真実の世界の偉い人は私の敵のようだった。彼にとっても敵なら、私達の味方になる。

「セラフィナイト、知ってるの?」

「ええ、私は真実の世界に行ったからわかるわ」

で、どうだったの? と目で続きを促す。

「いろいろ見たり、聞いたりしたけど、そいつは、悪い奴みたいだったわ」

フィーナも同じ事を考えているのか、動かない。

ドドドドドド……。

大軍。複数の人が入り乱れている。

「お敵さんの御出ましだな」


***************

『さて、人間世界の話ですよ。まったく物騒なもんですね』


「おお、早いじゃねえか、お前ら」

雑兵という名の歴戦者達に茶化される。

何しろ僕たちは特務部隊……。別名遅刻部隊。後者の方が広く出回っている。前者は国王や、その周りの重臣くらいしか呼ばない。また、

「よう、デコボココンビ」

とも呼ばれる。

数ある呼び名の中で、一番ザミアに合っているのは殺人鬼の呼び名だろう。悲しい事に。

辺りは騒然としている。隊列はもう組まれ、後は号令を待つのみ。

眼前に敵は……見えない。

宿敵国は攻めて来ない。攻めて来た事が無い。

彼らは岩山に引き篭もり、近づいて来た者を徹底的に叩く。いずれは敗れるだろう。誰もがそう思う。しかし、幾度となる戦いで我が国は、見事に敗れている。

「皆の者。よく聞け」

ざわざわした音が吸い込まれるように消え、代わりに砂の動く音が入る。

何度とない戦いで、荒れ果てた大地の音だ。

「我々は何度も、あの野蛮な一族に負けてきた」

ワーワーと無意味に喚く声。敵を非難する者。自国を讃える者……。

国王が手をあげ、辺りはまた静かになる。

「しかし我々には英雄がいる……。救世主がいる!」

讃辞の声。その中心にいるのは僕たちだ。

何が英雄だ。僕は殺したくない。希望も、感情も、命も、この美しかった場所も。

ザミアは不敵に微笑んでいる。あいつだって、あの国王がいなければ、こんな奴にはならなかった。

いっそ人殺しになるならば、自殺してしまおうかと思ったほどだ。しかし、故郷に帰る夢は諦められない。

「……先祖代々の怨み。今ここで晴らそう」

オー!!!

声だけで地面が震れる。兵士はこの上ない高揚感に見舞われた事だろう。

先祖代々……。いつからやっているのだろうか。戦争自体は途切れて短いが、睨み合いが続いている。

というより、我々が惨めなケンカをグダグダ売っているだけにしか見えない。

少なくとも五百年は。


*********

『真実の世界だね。僕、あのロベリア怖いんだよなあ』


『もうそろそろだ。あともう少しで魔力が途切れる。終わるのだ』

ロベリアというのは、最近勝手に喋り出すようになった。

『いや……。始まるのだ。我々も行くぞ』

私は抵抗した。メサイアを助けるまでは動けない。

『メサイアは、私が行こうとしている所にいる』

えっ。私は一瞬何も考えられなかった。

それを見逃さず、ロベリアはクライトの考えを支配した。

「何を!?」

意識に反して、体が動く。木を飛び、行く先にはダークホール。

クライトの目は深緑から、金に輝くの目に変わっていた。




最近、五百年と連呼されるようになりました。

さっさと言えよ。と思っているかもしれませんが、暫くこの状態が続きます。

重要なヒントはこの間にポロポロ零しますので、しっかりチェックしてくださいね!

そろそろ、意外な方向に進めるますよ。

あと何話で変わるかなー。そろそろがだいぶ長いけど。

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