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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

作者: ゴミ
掲載日:2026/01/07

先ゆく風は枯草を巻き上げて私は夜の丘を下る

月と星明りに照らされて澄み切った風と緑の中を下りてゆく

草は揺れ夜露(よつゆ)は静かに落ちてゆく

丘の中腹、草地の緑の中の一本の花、開いた花弁(かべん)の鮮やかな紫


私はその上に止まり、そして土の中へと下りてゆく

黒く湿った土、その下の赤い土、砂礫、石積み

目の詰まった漆喰、通り過ぎれば空間の広がり、ひんやりとした空気

下に床の黒ずみと木の欠片、何かが燃えた後

四角い部屋、壁面の絵は見知らぬ町、家、人々


一隅に門はある、人一人、通れるほどの大きさの

扉は朽ち果て崩れ左右に(かし)

木の()れの中を私は流れてゆく、塵は静かに舞い上がる

先の薄黒の長方形の空間、中央の石の台、そこに彼女は白く横たわる

シルクの(ころも)に身を包み固く目を閉じて


丘の反対側、7百年も上の地層に横たわる私の体は朽ち果てて・・・

彼女は、美しいままだ、分厚い漆喰と人々の思慕は

時の神を遠ざけて、朽ちた花々の上に、彼女は美しいままだ


縁の欠けた使い込まれた壺、皿、崩れたサンダル

今は倒れた椅子、形の無い布の袋

左の壁からの視線、風にそよぐ長髪、口元の薄い笑み

晴明なる青空を背景に彼女の最も美しい瞬間を切り取ったのだろう

その精細なる絵


どのくらい見つめていただろうか、私が私の元へ帰る時が来た

天井を見上げ、私は上ってゆく、分厚い漆喰を通り抜け土の黒の中を過ぎて

不意に夜空は現れる、黒と青と薄い青、星々の(きら)めき

その下のどこまでも続く草原に浮かぶ小さな丘

一本の木、その枝を揺らしながら私は(くう)を滑りゆく


低い頂、草地の緑の中の一本の花、閉じた花弁(かべん)の暗い青

それは揺れている、見知らぬ風は私の先を吹き抜けて

後方より枯草の巻き上がるを感じ、私は振り返る

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