イルミネーション
イルミネーションが見たい。見たいったら、見たい。
(一番近場のイルミネーション、いいけどもう見飽きちゃったし)
私が希望したので、ゴネる様子は見せたものの、付き合わされるでかわだった。
ひざ掛けと上着を、わざわざ取りに戻る。
けれど、きちんと食べたばかりということもあってか、ほとんど寒くない。
車に乗り込んですぐ、
「ちょっと自信ないな、ナビは?」
とでかわに促され、設定をしたら、片道18分。
「ちょうどいいね!」
「……ぅん」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
車を走らせていたら、すぐに目的の町にさしかかる。
でかわが2番目に就職した会社があるから、でかわにとってはこの街もホームだ。
私もおよそ半年だけ住んでたから、まあまあホーム。
ただ、10年近く前の話になるけど。
でかわは懐かしむようなことを言いながら、ハンドルを握っている。
体感、5分で到着。
20時台で真っ暗なうえに、目印も特になかったけど、迷わず来れた。
でかわが土地勘を取り戻したおかげかな?
「うわぁ~~、キレイ、キレイだね」
車の中からでもわかる、素朴さはあるけど手の込んだイルミネーション。
しかも、誰もいない!小雨だから?
「……車の中から写真撮れないかな」
と、誰かが言ってた気がするけど、もちろんスルーした。
汽車が蒸気をあげて走り、カラフルな熱帯魚が楽しそうに泳いでいる。
竹やぶを背景にした、可愛いうさぎさんたち。
クリスマスを祝福するオブジェや文字。
ちょっと……いや、だいぶ渋滞してるけど、すっごく好き。
「来て、よかったね!」
と1人で(?)盛り上がる私。
加えて驚いたのは、遊びの要素だった。
一周して写真を撮り、ちょっと満足した私の目に飛び込んできたのは………
何かを連投する、でかわの姿。
「え、え、何してるの?w」
無言で投げ続ける、でかわ。
すぐに分かった。輪投げだ!
私も、負けじと投げだす。そんな楽しそうなこと、放っておけない。
竹でできた的に投げて、枝わかれの部分に引っ掛ける。
これがけっこう難しい。距離もあるし。
結局、1投も命中しなかった。
でかわは渾身の1投をかなり高いところに引っ掛けた。
「すごい、でもそれ、取れるの?w」
にゅーん、と背伸びをして、自分で回収していた。
手作りの、カラフルな木管楽器もある。
音階も奏でられることに気づいてしまった私。もうダメ。
ド~ド~ソ~ソ ララソ~
もっとクリアな音を聞きたくなって、つい強くたたいてしまう。
オリジナル曲の演奏だ!
でかわが珍しく、少しハラハラしだして
「聞いた人が、怒って来ちゃったりしないかな」
というので、時間的にも余裕でしょと言ったんだけど。
ブオ~~~~~~~ン。
車の音だ。少しだけ、ドキッ。
坂道を上がってくる車が、1台。
わりとスピードが出ている感じ。
え?もしかして……?もしかしたり?
クレームついちゃう?怒鳴られちゃう?
「イルミネーションを、見に来た人なんじゃないかな~? ハハハ……」
とか言っていたら、車はスピードをそのままに、通り過ぎて行った。
ちょっと、ホッ。
あとからイルミネーション目当ての人もやってきて、私たちはその場をあとにした。
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