小料理屋の店主
今日は、ひと足早いクリスマスの日。
まだ20日だけど、今日はクリスマス。
イブ的な感じ。そう、間違いなく。
だって、24日は毎年でかわの職場でお昼にチキンとケーキが出て、カロリー過多。
(ディナーのありがたみも半減)
25日におうちで遅ればせクリスマスしたことは、何度もあるから。
でかわは今年、魚料理の気分らしい。
私もおしゃかなはしゅき(この口調になるくらい)
近所で気になってた、お魚料理が美味しそうで雰囲気のあるお店のうち、1軒にはアッサリと振られた。
(いつかはきっと行こうと思う……。)
2軒目は、こぢんまりしていて釜めしが美味しいというレヴューがついてる、高そうだという浅い知識しかない。
電話口では男性が応対され、カウンターという条件付きでOKしてもらえた。
冷たい風、小雨がちらついてる。
「お店までの道のり、わかる?」
と、でかわ。
「もちろんだよ!」
「ふーーん」
「いやわざと言ってるでしょ」
「え?そんなワケないよ」
ちなみにアパートからお店までは、徒歩5分。頑張れば3分で行ける。
今まで来店したことがないってだけだ。
美味しいものが食べられる予感が鼻先にブラさがってるからね。
ちょっとくらい寒いなか歩いても、おとぼけに付き合うのもぜんっぜん平気の助。
何なら軽くスキップしそうな勢いで体感は、瞬間移動。
お店の入り口には、すでに傘が何本もあって、そのうち半分はお洒落な花柄で明らかに女性もの。
「ウーン、傘の置き場、ちょっと困るね」
「そだね、立てかける?」
お店に入ってすぐ、大き目の壺が傘立てになっていたけど、スペースはなさげだった。
小上がりの2部屋は、満席みたい。
小綺麗なお店で、よかった。
店主で板前さんらしい固太りをした色白の男性が、すぐにカウンターから声をかけてくれる。
どこでもいいらしいので、奥から詰めた。
「どれに、しようか……?」
でかわと一緒に、メニューを広げる。
奥様らしき方が、さっと後ろからおしぼりを出してくれた。
それも、布のおしぼり。こんなところにも高級感!
2人とも飲めない。私はちょっと珍しいパインジュース。正解だった。
でかわは秒でウーロン茶にいこうとして、気の毒にも私に止められ温かいほうじ茶に変更。
(体質的に、ウーロン茶を控えているから)
ちなみにウーロン茶に行こうとして止められる流れはこれで3回目くらい。
いやもっと?まあいいけど。
とりあえず釜めしを注文する。
おすすめだけど30分かかるとレヴューにもあったので。
種類は鯛、カニ、牡蠣とあり、どれも迷ったけど鯛に。
オーソドックスで、いいかなって。
でかわは、天ぷらを2種。
私は、おとうふサラダ。
メニューになかったんだけど、煮魚食べたい欲がもたげてきたので、ちょっと思い切って聞いてみた。
「ああ、できますよ。今日は鯛のハラミが」
サイズが大きめということで、価格もそれなりに思えるし、鯛がかぶっているけどせっかくだから注文。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
突き出しは、青菜の煮びたし。お肉も少し入ってる。
おとうふサラダはみずみずしいお野菜たっぷり。
コクのあるごまのドレッシングがぴったり。
天ぷらは、からっと揚がった小ぶりのししゃもが先に提供された。
少しうねっていて、こんもりとしていて見た目にも美味しそう。
こだわりのありそうなピンクのお塩と、お花型の人参に盛られた柚子胡椒つき。
「うーん、さっくさくで美味しい」「カルシウムとれそう!」
もう1種は海老天だけど、お野菜も一緒に盛られていた。
さつまいもに、南瓜に、ししとう。
「さつまいもとかぼちゃは食べてよ」
とでかわ。甘いものを避けたいらしい。
私は気にしないし、カンゲイ。
鯛の煮物は大ぶりの器に盛られ、ごちそうな雰囲気が演出されていた。
甘じょっぱい煮汁が絡んだホロホロの鯛の身を、少しずつ味わう。
「皮まで美味しい」
と、でかわが言う。
そうこうしているうちに、真打の?釜めし登場。
ここまでが内心、上品な量だったから、予想外の量が嬉しい。
切り身が丸く盛り付けられていて、しゃもじできるのが少しためらわれた。
絶妙な味の加減で、お口がシアワセ!
炭水化物っていいよね。
途中から、常連客らしき男性がカウンターの端に来店し、店主さんと気さくな会話を交わしつつ、飲んでいた。
くだけた会話を聞くのもなんだかいい。
「何か、身体にいいことしたって感じしない?和食は」
美味しかったね、後味がいいよね、と言いあう。
ふふ!
あはは
いまIQを計測したら、私は3。
でかわは120くらいかも。
先に来ていた団体さんは、忘年会かな?
私たちのほうが早く食べ終わった。
「……あの、今日はありがとうございました!すみません、バタバタしちゃって」
声をかけられて振り向くと、板前のご主人が、ニコーッとしながら立っていた。
こちらも笑顔になり、美味しかったですまた来ます、と口をついて出た。
帰る道々。お腹いっぱいでホカホカ気分。
でかわの小さな心残りは、お造りを飛ばしちゃったことみたい。
「盛り合わせだったら、注文してたんだけどな」
たしかに。同感。また、行けるように頑張ろう。
「ところで……あの店主で板前さん、私くらいの背の高さじゃなかった?」
「え?まあ、そうだっけ」
「そうだよ、今日イチの衝撃だったよ」
「おおげさだなぁ、カウンターが、高くなってたとか?」
ちゃんと認識してるよこの人。……じゃない、でかわ。
ともあれ、最初から最後まで、美味しい楽しい時間を、マコトにありがとうございました。
少しでも面白い、と思っていただけたら、ぜひブックマークを。
↓にある『☆』をタップしてもらえると嬉しいです!




