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俺は家族サービスをしてやった。

作者: nina

俺は5人家族だ。

妻が1人に息子2人に娘が1人。

4人は仲睦まじいように見えるが、俺は非常に嫌われている。

いや、仲睦まじいからこそ、そこからあぶれている俺は嫌われているのだろう。

家に帰っても誰も話しかけてこないし、ここ最近は目線すら合わない。でも飯は冷たいが用意されている。


何が悪かったのか。

家事をやったことはないが、文句は少なめにしている。愚痴はたまに聞いてやったし、アドバイスもしてやった。家族サービスも何回もしたことがある。子育ても小さい頃にたまに面倒を見てやっただろう。お金だって出してやっているし、妻の趣味に文句は言わないように気を遣ってやっている。

他の家族に比べたら俺はかなり優しくて家庭思いのはずだと思うのだが。


職場の同僚には仲睦まじいと嘘をついているが、そろそろなにか具体的な思い出話を作る必要があるだろう。



俺はおもむろに海鮮市場へと足を運んだ。

新鮮な海鮮類はうまいから喜ぶだろうし、見た目もインパクトがある。みんなで食べれば嫌でも会話が弾むだろうし、俺に感謝してくれると思う。

タコと蟹をまるまる1匹ずつ買ってやった。まだ動いてるぞ。これは喜ぶに違いない。



帰宅すると、大きな荷物を持つ俺は流石に無視されることはなかった。しかも声をかけてきたのだ。さすが海鮮だ。

「どうしたんですか?それ?」

俺はたまにはみんなで食べようと思ってと伝えると

「え?!誰がそれをさばくんですか?他の材料は買いましたか?私がいつも節約してるのに・・・いくら使ったんですか?」


材料ぐらい家にあるだろとは思ったし、女なら誰でも料理はできるし、さばくとか切るだけだろと思った。

「私にはできません。あなたさまが今日は準備してくださいね。はぁ・・・お金が・・・もういいや。今日は惣菜でも買って済ませようかしら」


俺は呆然と立ち尽くした。

だいたい家に何の食材や調味料があるかも知らないし、器具もどこに何があるかも知らない。料理はスマホを見れば誰でもできるだろと思ったが、たこも蟹も何をしてるのかさっぱりわからなかったし、気持ち悪くて触りたくない。


夕食は結局惣菜になったが、俺は呼んでもらえなかった。

常温で放置されたタコと蟹は変色して死んでいた。

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