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転生者、洞窟を探索する

「私と一緒に『洞窟(ダンジョン)探索』行ってみない?」


その言葉を聞いて、即答しそうになったが、すんでの所で立ち止まった


「行…きたいけどなんで俺?もっと慣れてる奴と行けばいいんじゃ?」


「そりゃあ…君から並々ならぬセンスを感じたからね!」


「あ、あぁ…そう…」


「ま、まぁ、私に任せときなよ!」

適当な理由で俺を連れて行こうとしたその女は慌てて俺を安心させようとする。

ま、一人より二人いた方が安全だし、ここは一緒に行くことにしよう


「わかった…俺はハネフサ・コウヤだ。よろしく」

俺の狙いは転生者に関する文献、コイツの欲しい物とは違うだろうから、まあ大丈夫だろう


「私はルグ・リーファ!よろしくね!それじゃ早速」


「待てぇぇぇぇい!!!」


コウヤがリーファと洞窟に行こうとする所で、前に試験を受ける金を貸してくれた男が止めに入った


「あ、あなたは!俺に金を貸してくれた人!」


「アンタ、冒険者になったんだろ?なんか忘れてることあんじゃねーか?」


「…金のことだよな、悪いけどまだ30000ギルは持ってないんだ。返すのは待ってくれないか?」


すると、男の顔が変わった


「…何いってんだ?」


「いや…申し訳ないけど…」


「違う!金はいつでもいい!俺が言ってんのは服のことだよ!ふ、く!なんだその服は!?それで洞窟なんか行ってみろ!足滑らせて終わりだぞ!?」


服のことを指摘され、自分が着ている警察服が他の目から見ておかしなものであることを思い出した


「あ!忘れてた!」


もう全員に変な奴と思われたのだろうか。と少し恥ずかしくなった


「あ、触れていい奴だったんだそれ」


「アンタに似合う服を買いに行くぞ!『洞窟探索』はその後だ!」


「え…俺だから金持ってな…」


「金は俺が出す!ほら早く行くぞ!」


「ソレかっこいいと思うけどなあ…」

そうして男はコウヤを連れて防具屋に向かった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お、なかなかイケてるじゃねーか、似合ってるぞー」


「いいねーカッコいいよコウヤ君〜」


黒いトレンチコートを着せられたコウヤは物珍しそうに眺めながら質問した


「これ、防具屋って言うにはかなり薄いけど防御力とか大丈夫なのか?」


「当たり前だ!防御魔法が組み込まれてるからな、少しの衝撃なら無傷でお前を守ってくれるぞ!」


「へえ…防御魔法を…そんな事もできんのか、おもしれー」


「じゃ、それでいいか?店主さん、これくれ」


「その前に、これは何?凄いかっこいいな」


緑色のラインが入った黒色のコートを指さして店主に言うと、得意気に説明し始めた


「これはですねぇ!一定の衝撃を受けると爆発する自信作なんですよ!今なら3万ギルの所…3000ギルでお譲りしますが…?」


「まじか!安すぎだろ!買った!」


「いらねーだろ危ねーし!こっちでいいわ!」


レオが半ば強引にコウヤの服を買い、ギルドへと戻ってきた


「そういや自己紹介がまだだったな、俺はハネフサ・コウヤ。あなたは?」


「レオン……いや、ガーデ・レオだ、よろしく」


「レオだな、よろしく」


挨拶を交わした後、コウヤは小さな声で語りかけた


「もしリーファが良かったら、レオも一緒に連れて行きたいんだが、大丈夫か?」


「えー、お宝とか横取りされても知らないよ?まぁいいけどさ」


リーファがそう言うとコウヤはレオの方に向きなおり、洞窟探索の提案をした


「レオさえ良ければ俺たちと『洞窟探索』に来てくれないか?仲間は多い方がいい」


「ああ、いいぜ!A級冒険者の俺に任せとけ!」


その後、3人は洞窟探索の依頼を受けに行った

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

洞窟へと向かう馬車の中でコウヤは口を開いた


「そういえばずっと不思議に思ってたんだが、その何とか級ってのはなんなんだ?」


「ああ、冒険者は強さがアルファベット順に区別されてるんだよ、一番下がDで、一番上がS。ちなみに私はC級だよ」


「俺は…やっぱDか。当たり前だな」

冒険者になった際に渡された冒険者証に『カネフサ・コウヤ Dランク』と書いてあった


「アルファベットってのは洞窟で見つかった、転生者が書いた本に書かれていた文字なんだよ、何十年もかけてやっと最近解読されたんだけどよぉ」


転生者というワードが出て、体が反応した


「なるほど、やっぱ予想通り転生者が遺した物もあるのか、ますます楽しみになってきたなぁ」


そして3人は洞窟に着き、慎重に洞窟の中へ入った

中に入るとリーファは洞窟について長々と説明した


「ほとんどの洞窟には最深部に財宝があるんだよね。でも一筋縄じゃいかない、道中に魔物が普通にうろついてるし、最深部には宝を守る守護者(ガーディアン)がいる。下手すれば大怪我するレベルの強さだから、十分気を付けよう」


「その中に俺の求めている文献もあるんだな、よし!さっさと行くぞ」


「え?話聞いてた?」


そうして洞窟内を歩いていると、レオが足元に光る何かを見つけた


「おい!お前ら!こりゃ魔鉱石だ。すげぇ…こんなデカいの見たこと無いぞ!1つ3000ギルは下らねぇな」


「そんなに…俺も2,3個ぐらい貰っておくか」


「いや大きすぎて重いし邪魔になると思うよ?」


魔鉱石を詰めている中で、何か重要なことが頭をよぎった

(魔鉱石…洞窟…うーん?なんかマズいような……!)


その時、前にも襲ってきた魔鉱石を主食とする魔物の

ことを思い出した


「これ、フライズが来るんじゃ!?今すぐ捨てろレオ!」


コウヤがそう言った頃には遅く、フライズは洞窟の向こう側から自分たちを襲ってきた


「すまん!完全に忘れてたわ!」


「ちょっと…数が多い!結構危ないかも…」


「2人共!今助ける!」

(ナイフナイフナイフ!)


コウヤが手袋を外しフライズを掴むことで、同じ価値の小さなナイフに位置が変わった


「クソっ…数が多すぎる!」

何故か俺の方に多い気がするけど…これ以上等価交換しても無限にナイフが湧き出るわけじゃない…早く解決策を見つけないと魔力切れするだろう


「コウヤ!『治癒(ヒール)』&『防御(ディフェンス)』!俺の得意魔法だ!」


レオがコウヤに魔法をかけたことでコウヤの体はみるみる内に元気になって行く


「おお!すげえ!そうか、人にかけられる魔法もあるのか!」


「わ、私にもやってくれない?」


「すまん…重ねることは出来るけど俺が魔法をかけられるのは一人だけなんだ…洞窟は初めてじゃないだろ?自分でなんとかしてくれ!」


「えぇ!?………凄く疲れるから使いたくないんだけど…仕方ない…魔道具『獣化』!」


リーファは左手の指にはめている指輪を胸の前に持ってきて魔力を流すと、彼女の体は光に包まれた。すると、獣の牙と耳と尾が生え、人の姿を保ったまま狼のような姿になった


「ええ!それも魔法?どんな魔法なんだそれ!」


「ちょっと黙ってて!」

リーファはその姿でフライズをどんどん倒し、襲ってきた奴らを全部倒すことに成功した


「はあ…これで全部だな。コウヤ、リーファも怪我はないか?」


「俺は無傷だけど…リーファには大分頑張って貰ったな」


「ほんとだよ…これ1時間戻らないんだからね?」


獣人の姿になったリーファは文句を言いながら前へ進んだ


「そりゃ何なんだ?耳とか牙とか生えてるけど…それも魔法か?」


「これは魔道具。今は失われた古代の魔法の力が組み込まれてる道具で、身につけることで誰でも効果を発揮できるんだよね」


「へぇ、少し違う気もするけどこのコートも同じようなものなのかな?」


話しながら歩いていると、レオが声をかけてきた


「そういやコウヤ、あのナイフはいつ出したんだ?」


「え!?あ!いやぁそれは」

マズい…転生者ってバレたら全部終わりだ!どうしたものか…


「見た所そんなもの洞窟に行く前には持ってなかったよな?いつ買っ」


「二人共!静かに!」


レオの問いかけに被せるようにリーファがそう言った

彼女のおかげで一難を逃れることができ、心の中で少しだけ安心した。


「どうしたリーファ?その先はただの行き止まりじゃねぇか」


「音が聞こえる、この先に何かあるよ」


彼女が壁を弱く叩くと、確かに空洞が広がっているような音がした。

壁に獣の方の大きな耳を押し当て、空洞の位置を探り当てた


「よっしゃ!ならぶっ壊してみるか!オラぁっ!」


レオが大剣で壁を破壊すると、リーファの言う通り空洞が顔を出した。中は暗闇で覆われている


「空気が変わったなぁ…これ、最深部ってやつなんじゃねーの?」


「そうかも、誰か明かりつけてくれない?さすがに暗すぎて何も見えないー」


「そーだな、『発光(ライト』!」


「うおっレオが光ってる!」


「はっはっは、面白いだろこの魔法、じゃー中に入ろうぜー」


「もう!守護者がいるんだよ!?もっと気をつけてよね…」


リーファがそう言いながら歩いていると、後ろで何かに足を引っ掛け転んでしまった


「いてて…何もう…」


レオのライトでギリギリ見える位置に、その障害物はあった。目を凝らしてよく見てみると_____


それは、白骨死体だった。


「う、うわぁっ!」


驚いて手をつくと、手にも何かが当たった

視線をその何かに向けると、その白骨死体が持っていたであろう手帳が、そこには落ちていた。少し中を覗こうと持ち上げて中を開こうとすると________


「出てけ」


「ん?」

リーファの後ろから誰かの声が聞こえる


「出てケ、助ケて」


「え?誰?ニ人共なんか言った?」


そしてその時。その後ろの違和感、この洞窟の守護者が、まるで人間のように言葉を発して彼女を切り裂こうと腕を振り下ろした。


「ぎ、ぎぎ、ギャァァァァァア!!出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ」


「!?が、守護者!くぅっ!」


「リーファ!?どうした、って…こいつ、で、デカいフライズ?」


「キングフライズか、しかも普通より大きい個体、守護者で間違いねーだろーな」


その守護者は口を顎が外れるほど開き、リーファ向かって、超音波を放つ。


「うっ…が、がぁあああ!!」


超音波が直撃したリーファは耳や目から出血し、その場に倒れ込んだ。


「リーファ!今助ける!『治癒』…あ」


レオがリーファに駆け寄り治癒魔法をかけようとするが、後ろにはすでに二撃目を放とうとしている守護者がいた


「待て!こっちだコウモリ!」


キングフライズは即座に標的を変え、コウヤに向けて超音波を放った


「コウヤ!」


「いっ…た…痛え…なるほど、耳塞いでもこんな痛いんだな…」


「助けて助けて助けて助けて助けて」


この守護者…何で喋るのかとか、

色々気になることはあるけど、わかってることをまとめると

・洞窟で暮らしている守護者

・フライズの一種

・超音波は強力、頭が割れそうな痛み、でも俺は出血はしなかった。

この3つの情報でコイツを倒す!こんなとこで死んでられるか!リーファを助けて父さんの情報も見つけるんだ!



そう決意して、コウヤは手袋を外した

「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけたら ぜひブックマークと五つ星の評価をお願いします! 作者のモチベーションupに繋がりますので、心優しい読者の皆様、ぜひお願いします!

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