エピローグ
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──エピローグ
「え!? 自分がライン共和国の騎士に、ですか!?」
テオが驚きの声を上げる。
「そうだ、テオ。エリーザベト殿下があなたを召し抱えたいと仰っている」
ミカエラたちは報酬を受け取りにライン共和国に戻った時、エリーザベトからテオを騎士として迎え入れたいとの申し出を受けた。ミカエラはエリーザベトにテオが騎士になりたがっているということを話しておいたのだ。
「けど、団長たちは……」
「ブルーメントリット殿も騎士に。いや、壊滅した黒狼騎士団の騎士団長として、一から騎士団を作ってほしいと。ヴァイスは御料地管理人として準女男爵の地位を与えて迎え入れたいとエリーザベト殿下が仰っている」
「つまり、全員?」
「そうなる」
テオが抜けてしまっては5名しかいない“鋼鉄の虎”の戦力は激減だ。そこでミカエラはブルクハルトたちについても同じように召し抱えてもらえるように頼んだ。
「で、でも、ミカエラ様たちは?」
「私たちは元の旅に戻るだけだ。心配することはない」
テオが言うのに、ミカエラは安心させるように微笑んだ。
「私の目的は身勝手なものになる。一緒に旅はできぬよ。それに夢が叶ってよかったではないか。そして、私のことはよく知っているだろう?」
「ええ。ひとりで数千名の正規軍を相手にし、ドラゴンを屠る方」
テオは納得したように頷いた。
「これまで一緒に旅ができて光栄でした、ミカエラ様」
「私もだ、ブルーメントリット殿。テオたちをよろしく頼む」
「ええ。お任せください」
ミカエラとブルクハルトは握手を交わした。
「それでは!」
「いつかお会いしましょう!」
ミカエラとディアナはアギロに跨って、ライン共和国を出発した。
「なんだかんだで、これが落ち着くもんだね」
「そうだな。ブルーメントリット殿たちとの旅も悪くなかったが」
「ま、これからはふたりでやっていこう。行先は?」
「オストライヒ連邦へ。ヒュドラの子供がいたということは親がいるかもしれぬ」
「了解」
そして、ひとりの剣士とひとりの魔術師の旅は続く。
彼らは東で傭兵崩れを相手にし、西で魔物を相手にし、南でドラゴンを相手にし、北でもドラゴンを相手にしたという。
それでも彼女たちの物語はここでお終い。
まだ彼女は伯父を超えるために修行の旅を続けているとだけ。
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本作品はこれて完結です! これまでお付き合いいただきありがとうございました!