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食堂で

 その日の昼頃。

 給仕の仕事がひと段落し、セイは食堂で昼食を取っていた。


「よ、セイ。今日はおつかれ」


フリートが食膳を持ってセイの向かいの席に座る。


「フリートさんおつかれ様です」

「給仕の仕事大変じゃなかったか。意外と力仕事が多くて」

「いえ、そこまででもないです。ミーナさんや給仕係の人とみんなでやってますから。それこそフリートさん、今日は来客の案内だったんじゃないですか」


食事の手が止まる。


「おっ、セイ見てたのか? 来客と寮内を一周させられた。ウチのモリテの顔が見たいんだとよ。どうせ使い捨てとしか思ってないだろうに」

 大きな口でカレーをかきこむ。

 珍しいなぁと思った。フリートさんが誰かをわるく言うことは滅多にない。表面には出さずとも、その奥底には強い怒りがあるように思った。


「まぁ、それも午前中で終わった。今日一日は見て回るつもりだったらしいが。ツレのやつが、こんなむさ苦しいとこ入りたくないっつって外で待ってんだとよ──」


 ツレのやつ。私が屋上で聞いた歌。歌っていたのはその人だろうか。


「そのおかげで前倒しに案内が終わってよかったけどな。もう肩が凝ったぜ。お偉いさんは気を使う」


 ちょうどいい口実ができたと思った。


「フリートさん、夕方稽古しませんか。わたしでよければ」

「おお。いいね、セイから誘われるってことは本気でやってくれるんだなぁ。そうとくりゃ、午後の仕事もさっさと終わらせるか」


 フリートの声が弾む。それを感じたセイも楽しそうに笑った。




 食堂の奥が騒がしい事に気づく。1箇所のテーブルを取り囲んで、人だかりができている。

 どうしたんだろう。


「セイっ! 来てくれっ!」


 昼食を放って、呼ばれた方へ走りだす。料理の熱気が漂う中、セイは背筋に嫌な寒気を感じた。


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