誕生日
「この世界の全てにマナが宿っており、そのマナに自分の内なるマナで操作する、それが魔法です」
セレナ牧師の授業を受けていると眠くなるのも魔法なのだろうか?と、まどろみながら考えていると
「では、内なるマナの事を世間ではどう呼称しますか、ミスターフログレス」
「え、えっと、ま、魔力です」心臓の鼓動を速めながら何とか答える事ができた。
「よろしい」そう言うとセレナ牧師は授業を続けた。
ここアグロ村は超がつく程のド田舎だが週に1回教会で勉強会を開いてくれている、まともな教育を受けることが出来る貴重な時間なのだが今日はいかんせん天気も良く風も気持ちがいい。
「セレナ牧師、ただ僕たちの様な純粋なヒト族はほとんど魔力を持っていません、魔法の事を勉強して役に立つのでしょうか?」
セレナ牧師は笑みを浮かべて言った。「私達には使えなくとも他の種族たちの殆どが使うこ事が出来ます、知らないのと知っているのとでは、彼らとの関わりかたが大きく変わってきます。大事なのは学ぶことですよ、ミスターフログレス」
そう言うとセレナ牧師は授業を終了した。
家に帰ると母さんが夕飯の準備をしている、この匂いはカボチャのスープだ。
「おかえりアルター、今日はあなたの大好物よ」
「おなかペコペコだよ、父さんはまだ仕事?」
「もう帰ってくる頃よ、今日はあなたの誕生日だもの」
そう、今日は僕の13歳の誕生日だ、この国では14歳で成人を向かえる、その事もあって父さんと母さんに将来の事について相談しないといけない、先の事を考えるのはとてもエネルギーを使うけどいつまでも先延ばしにはできない。
「ただいま〜」
帰った矢先に父さんは食卓でくつろぎ始め、同時に母さんが料理を並べ終え席に着いた。
「ちょっと相談があるんだけど」
誕生日のお祝いが始まる前に僕は話始めた。