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~異世界異聞録~ 縫物とマカロニ  作者: 雷明たいたい
3/5

魔法は便利な道具じゃない

皆さまにおひとつ質問致します。


ライラの見た目・久の見た目・ボイットの見た目は気になりますか?

気になるのであれば、投稿は遅れますが私の拙い画力で何とか描いてみようと思います。

夜の空に風が強く吹き、雷鳴が起こる。

激流が今岩の巨人と戦っている、その様はまさに怪獣同士が戦ってる様子だ。


そんな所から離れた場所で久は休憩していた。

今日一日だけで色々な事があったため、久はいつも以上に疲れていた。

するとその場所に服を着替えたライラがやってきた。


ライラの見た目は魔法使いというよりもどちらかと言えば、魔術師を想像する。

某先輩だったら『お前、タロットとか使って戦いそうな見た目してるよな(笑)』とか間違いなく言いそうだ。

だが、そんな事を思われてるとは知らずに、ライラは椅子に座って体を休める。


「疲れた、風神雷神を切ったのは痛いな。」


「使うと何か悪い効果があるのか?」


「ああ、というかどの魔法にもデメリットが付きまとう。」

使用回数が限られているとか、そんなんなのか?

俺は疑問の顔を浮かべ、渋い顔をする。


ボイットがそれを見て俺の顔の真似をしてくる。

いや、おっさんに真似された所で嬉しくないんだが


「基本的な魔法のデメリットはまず身体能力の低下、そして次が魔法構築の再展開に掛かる時間、または動作が増えるという事だ。」


「あぁ、だから俺を最初に異世界に連れてきた時にはすっと異次元ホール出せて、城の中ではすっと出せなかったんだな。」



「そういう事だ、風神雷神は再構築に掛かる時間が私が撃てるどの魔法よりも時間が掛かる。」


「具体的に言うと?」

「一か月は風神雷神が使えない、ただ酷い豪雨と雷が起こっていれば話は別だが。」


ふむふむ、と納得する。

そして身体能力の低下、現在はどれくらい身体能力が下がっているのだろうか。

というか一度下がった身体能力は元に戻るのか?


次から次へと疑問が出て来るが、その中でも一番きになったのは これだ。


「なぁ、それって自分の身体能力をあげる魔法とかだとどうなるんだ?」


「上がってない所が下がる、全部上がるなら知能が下がる、判断力が低下する、身体強化なんてろくなもんじゃない、身を滅ぼすだけ。」



「....身を滅ぼすのか...」

ライラはその言葉に当たり前じゃないみたいな顔を浮かべるが少し考えて、そしてうーんという悩んでいる。

てか全身を覆う形の服を着てたからよく判らなかったが、しっぽが生えてるんだな。


少し複雑な顔をしつつも、話がまとまったようで、ライラは口を開く

「まぁあんたが居た世界の一般的な身体強化と私がいる世界の身体強化は違う。」


「私が住んでる世界の身体強化って、何かをあげるために何かを捨てるっていうのが基本形よ。その基本形を崩そうと魔法使いたちは切磋琢磨し、ある程度使える形には出来たものの、ぶっちゃけデメリットが大きすぎるからもう駄目だって感じになってるのよ。」


「体の身体能力をあげるのに、なんでそんなにデメリットがあるんだ?」


「それについては、これは私の見解なんだけども恐らく生物の根本的な形を魔法で崩そうとするからよ。」


「生物の体にはそれぞれメリットデメリットが付与された状態で生まれる、そのメリットだけを大きくしようとするのが身体強化、でもメリットには見合ったデメリットが付与される、昔の話だが全ての身体能力を無茶苦茶あげた魔法使いが居た、でも結果は知能の低下による暴走」


「...その男はどうなったんだ?」

俺は息を飲んで、聞いてみた。

決して気になったわけではない、だが聞かなければいけない気がした。

最後どうなったか何となくわかったとしても、言い出したのは俺だから、聞くべきだ。


「死んだ、散々街を暴れまわった後に多くの命を奪って、魔力が尽きて、倒れ込んだ、その後王宮で死刑判決、帰らぬ人となった。」


「...そんなことが...怖いな」


「一部の人がこう考えたのよ、身体強化で自身を大幅に強化出来れば、寿命による死を延命できるかも、上手く魔道具にそれを組み込めたら、もしかしたら研究次第では不老不死にもなれるかもしれないってね、魔法使いは馬鹿なのよ、だから可能性があったら研究したくなる。」


「....でも結果は駄目だったんだな、得たものよりも失ったものの方が多そうだ。」


「そう、得るものよりも失ったものの方が多いのよ魔法は、だから世間一般では魔法なんてなければいいのにって言われてる。」


その時のライラの目はどこか寂しそうだった。

恐らくライラにとって魔法は、悪くないものなんだろう、でなければこんな重い空気にもならなかっただろう。


「まぁ世間一般的にはな」

そこでずっと黙っていたボイットが喋りだす。

ライラと会話して何となくわかったろ?面倒くさい奴なんだこいつはという言葉を付け足して、俺に問いかけてくる。


その時のライラの顔は怖かった、鬼を思い浮かべるほど怖い顔をしていた。

ボイットは知らねぇよぉぉんみたいな顔をしながら話を続けていく。


「良くも悪くも魔法に救われた人もいる、それが俺達だ。」

ボイットは渾身の笑顔でグッジョブを前に突き出し俺に差し出してくる。


魔法で救われた人...ね。

俺は母さんと父さんを救う事ができるのか。


「私達のアジトでは、魔法使いたち、また優秀な助手たちが集まり、一致団結して魔法の有効性を知らしている。」


「俺の知る限りでは、現在魔法は殺人兵器としか利用されていない、何故だか判るか?」


俺は少し考える...だがその時間も長くはなかった。

何故なら答えがすぐ見つかったからだった。



「治癒にもそれ相応のデメリットが付きまとうから...か?」

ボイットはその解答にニコッっとして正解だと答える。

ライラは適当に聞き流してたらこの回答でばれてたが、一応聞いてたんだな。とか言ってる。


失礼ではないだろうかとも思いつつも、俺は話を聞く態勢に戻る。

「そう、治癒にもそれ相応のデメリットが付きまとうってこった」


「色々あるが、一番のデメリットとしては、治せたしても意味がないからだ。」


「意味がない...?」

俺は言葉の意味が理解できなかった。

治したとしても意味がない...?治せたらそれはそれで意味があるのでは思ったからだ。



「治癒魔法は体の治癒能力を過剰に上げて対象者を治す無理やりな方法でしかできない、つまり寿命大きく削るやり方でしかできないから治せたとしても、死ぬ時期はそう変わりがない。」


「他には病気への耐性を減らして治癒をしてみようとやった奴がおったが、まぁ見事にその治癒は成功したわけだがその後傷が治った奴は病死した。」


「....治した所で死ぬなら意味がなくないか?」


「そこだ、魔法はたちが悪い、魔力だけで回復させてくれない。」

常に魔法には魔力以外の何かがいるとライラは付け加えて詳しく説明してくれた。

恐らくここまで説明してくれるのは、涙の彼方を手に入れるのには魔法についてある程度知らないと混乱するからだろう。


だから今の間に説明してくれたが、判った事は一つ


魔法は便利な道具じゃないって事だ。

ライラは平気な顔をしているが、恐らく髪が光っているのは魔力を集めているから、その上で身体能力が下がってるとしたら体に掛かってる負荷は俺の想像のつかないくらいであろう。


俺は魔法を使えるようになったら、役に立てるかと思ったが...恐らくそんな簡単なものではないと。

久は心に深く思った。

思い知った、楽な道なんてこの人生にはないという事を。


そしてこれからも思い知ることになるだろう、破滅に愛されたらどうなるかという事を

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