丸投げよくない‼
首根っこを捕獲されてサラージャが退出するのを見た青年は困惑気味に見送った。
「えっと……彼女は、どうしたのだろうか」
「えっ⁉ あー、いやー、何度もないぞ。デイルとサラージャは父娘だからな! ただの父娘間の触れ合いというか、うん、そんな感じだ!」
「そう、なのか? なら、いいのだが……」
眉尻を下げて苦笑する青年に、引き連った笑みを向ける。
ナティアは不穏な発言をする友人はデイルに丸投げすることで一先ずほっておくことにし、軽く咳払いして誤魔化した。
「ごほん。……えーっと、……」
しまった、話題がない。
荒くれものの傭兵仲間と冗談混じりに会話することはあるが、青年のような女の自分よりも物腰が溺やかで、接するものに安堵を与えるような柔らかく繊細な言葉運びをする男とはてんで無縁であった。
どうすれば……!
そこで奥に引っ込んだデイルから助け船が出された。
「なあ、ナティア。そいつの仮名を決めろよ。話しづらいし、何よりも呼ぶときに困るだろう」
「そうだ、な……、⁉ って、私が考えるのか⁉」
立ち上がって抗議するナティアに何のその、デイルは何を今更と言わんばかりに溜め息を吐く。
「私が、もなにも。お前が拾ってきたんだ。お前が最後まで面倒見るのが普通だろう。それとも何か? こいつが思い出すまで名無しの権兵衛で通すつもりかい」
「いや! それはない、が、その……自慢ではないが、私には不得手な分野であってだなっ」
「なあ、坊主。仮名はナティアが付けるのでも構わんよな?」
デイルは埒が明かないと青年に話題を振った。
青年は話の流れに乗りきれておらず、始終ポカンと二人のやり取りを見ていたが、急に話し掛けられたことではっと肩を揺らして背筋を伸ばした。
「あ、はい。迷惑でないのなら」
「だとよ」
逃げ道を塞がれた……‼
くぅっと、忌々しげに元凶であるデイルを睨み付けるが、流石は元冒険者。小娘の威嚇程度ではびくともしない。早々にいい笑顔を浮かべたまま部屋の奥に下がってしまった。
この野郎と悪態付くが、青年を怖がらせるわけにはいかず、苛立ちはおくびにも出さず改めて彼の顔を見据える。
さて、どうしたものか……。
青年の命名まで辿り着かず。
次回で命名したいと思います!
(あらすじでネタバレしてますが)