表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レドウの華麗なる冒険譚  作者: だる8
第二章 神器を求めて
24/239

第22話 作戦会議~その2

「実はな、あれから知り合いのツテで少し調べてみたんだが、他にも例の鳥のレリーフを他でも見かけているそうだ」

「え、本当!」

「それは可能性高いですね」

「全部は覚えてないようなんだが、すぐにわかる有名なところが……ここだ」


 レドウは地図の南、リーデル大河に面した河岸の村『リーデルサイド』の付近を指した。そしてとんとんと軽く地図を叩く。


「ここに初級~中級冒険者に最適で、多くの冒険者が毎日訪れているような有名な遺跡がある。とは言っても俺は行ったことないんだが」

「そこの入り口が?」

「あぁ、そうだ。扉に鳥のレリーフがあるそうだ。こいつな」


 そう言って、ジラールにも見せた祖父のペンダントを取り出してみせた。


「確かに、北の遺跡で見たものと同じようですね。よく見ないとわからないですが」

「決まりね。そこに行きましょう!」


 シルフィが既にやる気満々だ。

 そこへアイリスが口を挟む。


「ちょっといいですか。……行くにあたって、行動の基準を決めておきましょう。これも事前に考えてみたのです」


 アイリスは先ほどとは別の紙を出した。


- 行動基準 ~神器(アーティファクト)の探索について 

 ※主に同行者、他の探索パーティがいる場合


 1.祭壇への道(隠し扉?)を見つけても会話に出さず極力見ない。

 2.魔石の収集を目的と見せ、何を探しているか悟らせない。

 3.遺跡を出てから転移ゲートで戻り、探索を再開する。

 4.万一、祭壇に至る道が知られていても、祭壇に《鍵》と疑わしいものをかざさない。


「こんなところでしょうか?」

「……難しいな。演技なんてできん」

「全然難しくないじゃん。無視すればいいだけでしょう?」

「さすがに気にしすぎじゃねぇか?」


 レドウが大きく息をを吐く。

 だが、アイリスは警戒の意思を崩さない。


「いえ、警戒すべきです。この件ではないかもしれませんが……既に何度か尾行の気配がありました。目的は不明ですがうちの暗部とともに警戒……そうだ、レドウさんを紹介しておきましょう。一旦円卓から離れてください」


 レドウはアイリスに促されて、席を立った。


「ラピス。いるのでしょう。……姿は見せなくていいから」

「は。控えております」


 アイリスの呼びかけに応じる静かな声がした。声の感じからは女性のようだ。


「こちらがレドウさん。今日からアスタルテの家族ですので、よろしくおねがいしますね」

「……心得ております」

「よろしくな」

「では戻りましょう」


 二人は再び円卓につく。


「レドウさんが、衛兵に捕まったことを伝えてくれたのも彼女です」

「!?……顔も知らないのにか?」

「えぇ。とっても優秀ですよ。そして、同じように他家にも暗部がいます。どのくらいの腕でどのていどいるのかは不明ですが」

「わかった。気をつけよう」

「あとさ……」


 シルフィが言いにくそうにしている。


「アイリスの行動基準と反対しちゃうかもだけど……レドウ、さっきのお祖父さんのペンダント、つけとかない?」

「ん?なんでだ」

「……今日選んだ服に似合うよ」


 レドウは促されるままレリーフのペンダントをつけた。


「こうか?」

「どうかな?アイリス」

「大丈夫だと思います。人のつけているアクセサリーの模様なんて、見ているようでちゃんとは見てないものです。それにシルフィの言うようにとってもお似合いですよ」


……


 時は数刻前。南岸遺跡。誰がつけたわけでもないが、現在ではそう呼ばれている。

 

(確かに……あまり気にしたことはなかったですが、良く似てますね)


 ジラールだった。


 しばらく訪れていなかったがレドウとの会話で話題に出たため、久しぶりに訪れていた。

 既に観光地化しているこの土地だが、こうした低難易度の遺跡は初級者の指導に丁度いい。

 もっとも観光地化している真の理由は南岸遺跡以外のファクターなのだが。


「お師匠様、どうされました?」


 遺跡扉の前で突っ立っているジラールを呼ぶ声がする。

 数日前に弟子入り志願をしてきたユーリという女性だ。

 志願と言っても直接門戸を叩きにきたわけではなく、冒険者登録をした際にギルドに師匠の紹介を求めたようだ。


『登録は初回だけどぉ腕立ちそうだからぁジラールが丁度いいんじゃない?』


 と、リズを経由して連絡があったのだ。

 ジラールも最近は新しい弟子はとっていなかったが、たまたま少し手が空いた時期だったため、承諾したのである。そして、彼女の技量チェックを兼ねてこの地、南岸遺跡を訪れたのだった。


「いえ、なんでもないですよ。では入りましょうか。まずは貴女の現在の実力を教えてくださいね」

「了解です!頑張ります!」


 二人は南岸遺跡の中に入っていった。


……


「行き先はいいとして、いつ行くんだ?もう明日には出発か?」

「もちろんよ!すぐに出発よ」

「シルフィ、そう簡単にはいかないのですよ」


 アイリスが二人を眺める。


「ここからが大事です。私たち三人がまとまって外出するのは非常に目立ちます。前回のように早朝こっそり出かけるのにも限界があります」

「バラバラに出ればいいんじゃない?」

「いや、それもダメだな。他家の暗部がここを張ってるんだろ?こっそり外出してこっそり戻るには限界がある」

「転移で出るのはどうでしょうか?どこへ出るかは検討が必要ですが」

「わかった。じゃあこうしよう。タルテシュの俺の自宅に転移しよう」

「部屋汚いとか嫌よ」

「シルフィ、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ」

「ずいぶんな言われようだが、汚くなりようがない。物がねぇ」


《マスター。お伝えしたいことがあります》


 突然タクトの精が話しかけてきた。


(なんだ、どうした?)


《永続転移ゲート、1つ分の作成エネルギーのチャージが完了しております。なお不要になった場合は魔元素を回収し、再び1つ分のチャージをすることが可能です》


「よし、それでいくか」

「どうしたのですか?」


 突然独り言を呟いたレドウにアイリスが尋ねる。


「1つ分の使い捨てじゃない転移ゲートの作成が可能だ。この部屋とタルテシュの俺の部屋をつなぐ」

「え、そんなことできるの?」

「魔法使いだから可能だ」

「……わかりました。但し、永続……ということは使い方に注意も必要ですね」

「というと?」

「恐らく……作成したら誰でも利用可能なゲートになるはずです。私たち以外に知る者がいてはいけません」

「なるほど」


 レドウは考え込んだ。といってもいいアイデアなど浮かばない。


「とりあえず、今回タルテシュの自宅まで転移する案は採用だが、そこに出入り口を創りっぱなしにはしておけねぇってことだな」

「向こうの家ってどんなとこなのよ」

「冒険者向けの賃貸アパートだが」


 シルフィが肩を落とす。


「そんなとこダメに決まってんじゃん」

「意外性という意味では虚をつくので良いですが、賃貸物件に重要なものを設置はできないですね」

「まぁ。永続ゲートに関しては、あとで考えよう。今回創るのはいつもの一回ものだ。とりあえず明日は出発の準備をして、夜にここから出発すっか。……アレク殿への報告はアイリスに任せていいか?」

「わかりました。この件については話しすぎないという閣下の意向も考慮して、バランスよく上手く私から話しておきます」


 そして三人はレドウの部屋の円卓から解散した。明日夜の出発に向けて。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ