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レドウの華麗なる冒険譚  作者: だる8
第二章 神器を求めて
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第18話 模擬戦

 アイリスと共に中庭まで戻ったレドウ。

 先ほどまでは誰もいなかった中庭では騎士団員たちが稽古をしていた。


 アイリスが手を挙げるとメンバーは周りに集まってきて整列する。

 さすがは騎士団というところであろう規律はしっかりしている。


「皆さんに紹介しますね。こちらがレドウさんです。今日から私たちと同じ家族です。よろしくお願いしますね」

「「「はっ!」」」


 返事も揃っている。レドウにはとても真似できそうにない。騎士団員でなくて良かったのだろう。


「えっと。レドウだ。魔法使いをしている。よろしく」


 騎士たちがややザワつく。

 すると若くてイキの良さそうな青年が手を挙げる。


「団長殿。レドウ殿に質問してもよろしいでしょうか?」

「どうぞ、セルゲイ。レドウさんは口が悪いけど気にしないでね」

「おぃおぃ」


 アイリスからのいきなりのジャブにツッコミを入れたくなったレドウだった。

 そしてセルゲイと呼ばれた騎士がレドウに向き直る。


「レドウさんは、騎士ではないのですか?」

「あぁ、騎士じゃねぇな。俺は魔法使いだ」

「えっ?」


 セルゲイが絶句する。セルゲイほどではないが、ほかのメンバーも怪訝そうな表情だ。


「レドウさんは『騎士団付き宮廷魔術師』です。アスタルテ家には専門の魔法使いがおりませんので、一人目ですね」


 するとセルゲイに代わって、アイリスを除けば紅一点の女性騎士が質問を続ける。


「失礼致します。私は騎士団のケリーです。レドウさんに質問ですが、最近の魔術師はそのような立派な大剣をお持ちなのですか?」

「これは護身用だ」

「??」


 ますます不思議そうな騎士団の面々。それはそうでしょうというアイリスの表情。


「まぁ……皆さんもいろいろ思うところがあると思いますが、レドウさんは魔法使いであり、手練の剣術使いでもあります。魔法は強いですが、剣を使っても強いですよ。丁度稽古の最中ですし、ちょっと模擬戦でもしてみませんか?」

「俺はかまわねぇぞ。そろそろ身体を動かしたいと思ってたとこだ」

「皆さんもレドウさんと剣を合わせてみてください。きっと新たな発見があると思いますよ。……セルゲイ」

「はい!なんでしょう」

「木剣の用意をお願いします。片手用と両手用と両方お願いね」

「わかりました!」


 セルゲイは元気よく詰所に走っていった。


「レドウさんと最初に戦ってみたい人はいませんか?」

「よし、私が行きましょう」

「ラウルですか。なるほど面白いかもしれないですね」


 最初に手を挙げたのは、ラウルという男だ。アイリスを除いた騎士団員のNo2にあたる男だ。

 セルゲイが用意した木剣を一本抜き、盾を構えた。


「俺はこいつだ」


 レドウは当然のように両手用の木剣をつかむ。


「では、はじめ!」


 アイリスの号令でラウルは構えた。しかし、レドウは号令とともに動き出していた。

 レドウはラウルが盾を構えていない左から横になぎ払う。慌ててラウルが盾で受けた。

 ガン!と木と木がぶつかる衝撃にラウルが耐えているとき、レドウは剣を手放してがらあきの背中に蹴りを叩き込んだ。


「ぐぁ!」


 思わず前につんのめるラウル。レドウがすばやく剣を拾い上げ剣を首に突きつけた。


「勝負あり!」


 アイリスの声が響く。

 どよどよとざわめく騎士団員たち。


「あれは反則では?」


 ひとりのセルゲイではない方の若い騎士がつぶやいた。


「ピート、貴方はそう思うのですか?」


 静かに問うアイリス。


「あ、いえ、しかし団長殿……」

「ピート!今のは間違いなく私の負けだ!聞くがピート、生死を掛けた戦いで反則だのなんだの言うつもりか、お前は!」

「は……確かに」


 アイリスは嬉しそうだ。


「そうです。一番学んで欲しかったこと、一度で理解して頂けて私も嬉しいです。レドウさんもありがとうこざいます」

「あん?俺はいつもどおり戦っただけだ」

「ところで、リュートは今日はいないのですか?」


 アイリスがラウルに尋ねた。


「なんか腹壊したとかで、朝からトイレに篭ってたな……わっはっは」

「ん、そうですかそれは残念ですね。では代わりに私がレドウさんと戦ってみましょう」


 レドウがぎょっとする。


「……アイリスもやんのかよ」

「あら、丁度良い相手になると思いますが?」

「おぉ……レドウの兄さん、団長殿とやるのはさすがに大変なんですね」


 ラウルがレドウのことを兄さんと呼びはじめた。迷惑な話だ。


「ちっとしんどいのは確かだなあ。それにあの戦いを見せられてるからな……」

「??」


 レドウが指してるのは遺跡で巨大蜘蛛を一人で抑えていた時のことだ。それを見ていない騎士団員たちにはなんのことか伝わらないようだ。


「私が戦ってみたいのですよ。仮に負けてもレドウさんは魔法使いだからいいじゃないですか」

「ん……それもそうだな。よし、じゃあ今度は片手剣を二本くれ」


 セルゲイから片手用の木剣を二本受け取る。


「二刀流ですか?」

「……多分、両手剣じゃアイリスに勝てなさそうだからな」

「では、ラウルさん。合図をお願いします」


 アイリスが自然体に構える。レドウも剣を握った両手はそのままだらんと下げたままだ。


「よし。はじめ!」


 ラウルの号令とともに動き出したのはアイリスだ。


 隙があるだかないだかわからないレドウに対し、袈裟に切りかかる。

 と、その剣を左手の剣で下から受け流したレドウ。

 剣が上で止められ空いたアイリスのわき腹を右の剣で盾のない左から切りかかる。

 それを見たアイリスが後ろに飛びのいてかわした。


 結果、レドウの右の剣がアイリスから見て左に流れたのを見るや、盾でその手と剣を激しく押しのけ、レドウの体勢を崩す。

 まずいと感じたレドウはその身体の流れに逆らわず、すばやく一回転し左から迫るアイリスの必殺の剣を二本の剣で受け止めた。


 そして膠着した二人は一度間を取る。


「「「おぉぉぉぉ……」」」


 騎士団員たちから感嘆が漏れる。


「隙がねぇな……アイリスは。危なく負けるとこだ」

「やはりレドウさんは剣でも強いですよ。騎士団員たちとの模擬戦ですと、先ほどのシールドバッシュでに既に勝負はついてます」

「しーるどばっす?」


 首をひねるレドウ。


「兄さん!盾で攻撃し相手の体勢を崩す、団長殿の必殺技のことです」

「そ、そうか。なるほど」


(俺はお前の兄さんになった覚えはねぇぞ。)


 心の声を押し殺しつつも、ラウルの助け舟にうなずく。


「思わず熱の入った試合になってしまいましたが、そろそろ時間です。レドウさんの紹介という目的は果たせましたし」

「ん?時間って?」

「お嬢……シルフィが、これから一緒にレドウのタクト選びをしてくれるそうですよ。今、外出の準備をしているはずです」

「え……聞いてないが?」

「(ちゃんとした代わりのタクト、まだ持ってないですよね?腰に挿してるの例のタクトですよね。)」


 アイリスが耳打ちしてくる。確かにまだ普段使い用の偽装タクトは購入していない。というかそんな時間はなかった。


「と、いうことでレドウさんはこれからお嬢様とデートですので、模擬戦はここまでとします。代わりに私が皆さんに稽古つけてさしあげますね」


 げぇぇ!という悲鳴とデートいいなぁという声が入り混じった騎士団たちの声を聞きながら、


(デートってどういうこった。タクト買いにいくだけだろう?店の場所がわからないから連れてってくれるのは助かるが……。)


 と、心でつぶやくレドウだった。

評価、ブックマークありがとうございます。大きなやる気につながります!

結構長いお話になる予定です。気長にお付き合いくださいませ。

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