プロローグ
ボゥン・・・・・・。
召喚の魔札が光り、地面に魔法陣がが浮き出て来た。
「縛を解き、幾千の時空を越え我の願いに応えて現れよ、サルバドール」
術師の言葉が終わると円柱の光が魔法陣を覆い、中から少年が出て来た。
「おおっ、成功したぞ」
この世界でも召喚魔術は稀少であり貴重であったため、この世界の現代で召喚魔術を成功させた者は存在しなかった。
「ヴィオナンド、良くやった。下がって良いぞ」
「ここはどこだ?」
「ここは、リゾーナ王国だ。そなたはこのヴィオナンドの召喚魔術でこの世界に呼び出されたのだ」
「何だって?ふざけるな‼︎元の世界に戻せ」
少年が暴れたので兵士が槍を突きつけ黙らせた。
「それは現段階では無理だ。この世界には召喚魔術に関する情報が少な過ぎる。呼び出すだけでも1000年前に1度あったきりで、元の世界に帰ったという記述はない」
「そこまでわかっていながら、なぜ召喚魔術を使った?反発するのがわかってなかったのか?」
「それはリゾーナ王国、いや、イェルムヴァーレン全体が望んでいることで、この世界を支配している
魔王イブリードを倒したくて助力を求めて召喚したのだ」
現在のイェルムヴァーレンはイブリードの直接的な攻撃は無くなったものの部下のモンスターに街を襲わせていた。人々は日々の戦いで戦える大人たちは消耗していた。
「その魔王を僕に倒せ・・・と?」
「倒せるなら是非倒してくれ、できる限りの支援はするつもりだ。ただ、倒す努力もしない様な奴を支援する余裕は我が国にはない。よって、この場で死んでもらうか野垂れ死ぬかを選んでもらうがな・・・」
さらっと物騒なことを言ったリゾーナ王国の王様の言葉に少年は考え込んだ。
魔王を倒さない → 即刻殺される または 野垂れ死ぬ
魔王を倒しに向かう → 多分殺される
多分だから殺されない?
「支援ってどんなものがあるのですか?」
「魔王討伐養成学校というのがあってな、まずはそこに通ってもらうことになる」
「魔王を倒します。支援お願いします」
死にたくないという下心がありながらの返事ではあったが少年は魔王を倒す決意をした。
「今日はもう遅い、今日は城に部屋を用意させるからそこで休み、また明日詳しく話をしよう。」