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鬼岩

作者: 阿蘇 惟竹
掲載日:2016/09/16

実体験7割

空想3割で書いております。


近所の小さな神社の拝殿、その2〜3m手前に“鬼岩”という1mほどの岩が埋めてある。

「この岩を踏むと鬼に祟られるので、踏んではならぬ」という言い伝えが残っているのだが、おかしなことに参道のど真ん中にこの岩があるので、拝殿に並ぶ時には嫌でも踏んでしまう。


「なぁ、どうしてこの岩はこんな所に埋めてあるんだ?踏んじゃっていいのか?」


と、近所の爺さんに訪ねてみると


「あぁ、あの岩は踏むものだ。岩の下には大昔ここいらを荒らした鬼の首があるんじゃ、じゃけぇ、あの岩を踏んで鬼を辱めるために参道の真ん中に埋めちょる。」


俺の知っている言い伝えとかなり違う、いや、正反対だ。

そもそも、参道の真ん中は歩いてはいけないとされる場所、そんな場所に踏んでもらうために鬼の首を埋めるのは何か違うだろう。

ということを、神社の神主に訪ねてみると。


「踏む事と、歩くことは違うものです。それに、あの岩の下に本当に鬼の首が埋まっているなんて誰がわかるんです?わからんでしょう?ここら辺のご老人達だってどちらが正しいのかわからないんですから、あなたの思うようにすれば良いです。鬼を辱めようが、鬼の祟を恐れようが、どちらでもいいのです。ただ、神社に来たのなら参拝するのが礼儀。それだけですよ。」


なるほど、一理あるな。と、思った。

参拝を終え、御朱印を頂いてから、鳥居をくぐって神社から離れた。

バイクに跨り、次の目的地を決めながらふと思った。

あの岩の下の鬼は、人を祟るために踏んでくれる人を待っているのだろうか?それとも、踏まれることを辱く思うのだろうか?

はたして、その答えは岩の下にあったのだろうか。

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