友人マカロ
一日中オレンジ色の光に包まれる石の街バルジェロ、そこは歪んだ人間が集まる狂気の街として有名だった。私はその街にある見世物小屋で過ごしていた。
見世物小屋に来たのは10年前だ、私が再生の能力を持っている事を知った見世物小屋の経営者ルルームは私を誘拐した。
それから私はずっと見世物小屋でずっと働かされている。
切っても潰しても再生する体を持つ私は人々の醜く歪んだ欲望を満たす事が出来るため大人気だ。
「おいヴェルどこに行っていた。」
見世物小屋へ戻ると同じ境遇のマカロが声をかけてきた。マカロは獣に変身する能力を持っている。
「外に出てたのさ、そしていきなり刺された」
「何⁉︎大丈夫なのか」
「大丈夫だよ私は死なないから、それより聞いてくれ私の服がボロボロだ!服はこれしか無いというのに!全裸になるなんてイヤん」
そうか、とマカロは嬉しそうに微笑んだ。
マカロは私が誘拐された2年後にここへやって来た子だ。境遇が似ているからか私とマカロはすぐ仲良くなる事が出来た、彼女がいなければ私はもう壊れていただろう。
「なあヴェル。ヴェルが死ぬのは嫌だ、外には出ないで私と一緒にいてくれ。それにルルームは最近客が来ないせいか機嫌が悪い、何かしたら今より酷い事をされるかもしれない」
マカロは震えていた。私はマカロをゆっくりと抱きしめる。
「大丈夫だマカロ。私は死ねないから。それにルルームの奴がお前に何かしようものなら私は許さない。必ず守るよマカロ。」
「ありがとうヴェル」
私はマカロの頭をそっと撫でた。しばらくすると見世物小屋が開く銅羅の音が鳴り響いた。
「今日は私の出番だ、嫌だが行くか。」
私はマカロから離れゆっくり立ち上がった。
「行くのか?」
マカロは目を潤ませながら私を見つめる。
「なあヴェル?私達自由になれるかな?」
「なれるさ、その日まで待つんだ。もし自由になれたらきっと面白い事が沢山あるだろう、だから泣くなマカロ、笑ってくれ」
マカロは静かに頷いた。