素直な僕とよくわからない君
「バカにしないでよ!」
目の前の少女が、僕の頬を叩いた。
「バカになんかしてない……ぶたないでよ。痛いから」
図書室に、2人きり。
抱き寄せた小さな体からは、シャンプーの優しい香りと少し汗のにおいがした。
「離しなさいよばかっ」
「やだ」
ジタバタと僕の中で暴れる少女を、更にきつく抱き締める。
「……っ! アンタなんか、アンタなんか!!」
―……大嫌い
その言葉がどれほど僕を傷つけているかも知らずに、彼女は毎日の様にその一言を僕に浴びせてくる。
「なんで。僕のどこが嫌いなの」
僕はこんなに君が好きなのに、どうしてそんな事を言うの。
「そ、それは……。だって意地悪だし、無神経だし……それに、それに……」
「嫌ならこの腕振りほどいてよ」
僕は抱き締めていた腕の力を少しだけ緩める。
そうだ。嫌ならいっそ、振りほどいてくれたらいい。話し掛ければ憎まれ口を叩くくせに、触れてみても拒否はしない。
君がそんな中途半端な態度をするから、僕は未だに諦めが付かないんだ。
しかし少女はピクリとも動かず、なにも言わない。
「どうしたの?」
「今ここで動いたら、私の顔、アンタに見えちゃうでしょ」
「え? うん。まぁ、そうだね」
「だったらダメ」
「なんで」
「変な顔、してるから」
どんな顔なのか知らないけど、それなら、と呟いて僕はまた彼女を強く抱き締める。
「ねぇ、本当に好きなんだけど」
「煩いわね、嘘ばっかり。アンタなんか、大嫌い」
両思いハッピーエンドになるはずが、何故かそうはなりませんでした(-_-;)
ツンデレ難しいです