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水子さんー…かごめかごめ

フワフワ

フワフワ

夢見心地…


優しく頭を撫でてくれる

…あなたはだぁれ?


とっても良い匂い…


もう少し、もう少しだけ

こうしていたい

あなたの温もりを感じていたい。


もう少し…もう少し……



………………

…………

………



「お早う御座います。透様。」


「………うーん…」


「朝でございます。起きてくださいませ。」


「もーちょっとだけ……って学校!!」

焦って身体を起こした場所は

見慣れない部屋のベットの上。


「ここ………」

そうだ、私は今

竜宮城と化した稲荷神社の一室にいるのだ。

そしてこの子たちは…

「お早う御座います。お目覚めはいかがでしょう?」

「昨晩はよく眠れましたでしょうか?」

天琥君、鬼璃君。

ここ、稲荷神社の神使である狛犬達。


「う、うん。…………おはよう。」


「さようで御座いますか。それはようございました。」

そう言いながらも

二人はテキパキとベットの横のテーブルに朝食を並べていく。


「朝餉の準備が整いました。何時でもお召し上がりいただけますよ。」


「今日は洋食…なんだ。」

トーストにスープにサラダに…

フワフワオムレツがとても美味しそう。

「熈濤様が毎日和食では飽きてしまうだろうと…お嫌いでしたか?」


「ううん、ただちょっとびっくりして」

「そうですか、まぁ神社には些か似合いませぬが…」

そう言って鬼璃は苦笑いを浮かべる。


「でも本当なんでも出来るんだね、熈濤は…。」

「どれもこれも全て透様のために努力なさって身につけられたものばかりです。」


「そう…なんだ…。」

てっきり初めからなんでも出来たように思ったけどそうじゃないんだ…

努力して…


「ささっ、今日はお出かけです。沢山食べて体力をつけてくださいませ。」


「何処に行くの?」

「そうですね…ご挨拶とでも言いましょうか。」

「ふぅん…」


「では我々も準備がありますので…」

「食べ終わった皿などはそのままにしておいてもらってもかまいません。」

「後で片付けさせて頂きます。」


「…ありがとうね」


「…いえ」

「ではまた支度が出来た頃にお迎えにあがります。」


ゆっくりと扉の閉まる音がして

二度目の部屋に静寂が訪れる。

物音一つしない。

私は急に寂しさに襲われ

明るさを求めて窓際に駆け寄った。


カーテンを開けると

薄暗い部屋に朝の眩しい光が降り注ぐ。


「今日もいい天気ーっ」

初夏の朝。

近くの森林から蝉の大合唱が聞こえてくる。

今日も暑くなりそう。


私はうーんと伸びをすると

丸い小さめのテーブルに並べられた

豪華な朝食を胃におさめるため元気よく席に向かった。







ー「稲荷神社に人間の女がいるぞ。」

「なに!?あの狐のところのか!」

「何故人間がいるのだ。」

「何故だ、何故だ。」

「きっと我らに災いをもたらしにきたのだ。」

「人間などにやられてたまるものか。」


「…喰ってしまえ。」

「そうだ。喰ってしまえ。」

喰ってしまえ、喰ってしまえ、喰ってしまえ、喰ってしまえ…ー

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