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超訳・蜘蛛の糸

作者: 35ki_2
掲載日:2026/02/17

とんでもないスケールのプロジェクトが完了する。

工期は15年。

宇宙エレベーター。

プロジェクト『バベル』。

人類は、かつてガガーリンが言っていたことを、だれでも体験できるようになる。



未曾有のプロジェクトだ。

難航続きだった。

特に宇宙と雲の間が難航していた。

結果、搭は神に壊されることもなければ、言葉が突然バラバラになることもなかった。



プロジェクト完了の式典は、世界各国の首脳陣、報道機関、国連の関連機関が集結していた。

NASAの局長の挨拶ののち、搭を覆っていた大きい幕が開く。

長い街道の先にそびえたつ灰色の搭が建っている。



宇宙へは6日、往復で12日間の旅。

地球の遠心力を利用して空を昇る。

中はホテルのようになっており、低グレードの部屋はベッドと椅子、机が一通りそろっているだけだ。

風呂、トイレは共有である。

この部屋に窓はない。

高グレードの部屋にしか窓はなく、低・中グレードの利用者はラウンジの窓から外を眺めることができる。

低グレードと中グレードの違いはラウンジで頼める料理とドリンクの違いと、部屋にユニットバスが追加される程度の違いだ。

今は雲よりは上だが、まだ暗くなっていない。



ついに頂点に着いた。

ガガーリンは言っていた。

「地球は青かった。だが神はいなかった」と。

地球は青く、大きく、球であるのにかかわらず、縁が直線に見えるほどだ。

だが確かに曲線を帯びていた。

これまで見たどんな景色より壮大で、怖く、そして美しかった。



12日間の旅が終わった。

大地に足をついて、空を眺める。

6日前、空の向こう側に居た。

夢のような出来事だった。

あれは現実だったのか。

それとも悟りの先にあるニルヴァーナだったのか。



人類が空を夢見てどれほどの時間が経過したのかは不明だ。

ついに誰もが地球を眺めて帰ることができるようになった。

釈迦に蜘蛛の糸を垂らしてもらうことは必要ない。

人類は自らの力で、極楽へ上ることができるのだ。

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