第2話:日常……そして、失われたチャンス
こんにちは! 前にも言った通り、この章は少し長めです。
これからはもっと頻繁にエピソードを投稿していく予定です。
どうぞ楽しんで読んでください!
びしょ濡れのまま学校に行ったら、確実に追い返される。
だから俺は急いで体を拭き、全力で走り出した。
「なんで俺だけ、こんなについてないんだよっ!?」
走っても走っても、時間は待ってくれない。
そう、俺はノボル……いや、別に見た目が特別ってわけじゃない。
黒髪に琥珀色の瞳。まあ、後者を除けば、ほとんど普通の日本人だ。
……いや、普通って言っていいのかな? 自分でもよく分からない。
「えっと、つまり――」
「やっほー! 待ってたよ!」
突然、女の子の声がして足が止まる。
「え……?」
辺りを見回すが、誰もいない。
「もう、バカね! こっちに来なさいよ!」
……え、俺、呼ばれてる? まさかこれ、俺の物語的な出会いイベント――!?
「ほらほら、からかっただけだって!」
俺の後ろから別の男子が歩いていく。
「ほんとバカね、毎回同じことして!」
「……。」
……うん、俺の物語、どうやらラブコメじゃないらしい。
くそ、リア充どもめ……うらやましい。
さて、どこまで話してたっけ。そうそう――
もし俺の人生が物語だとしたら……
「タイトルがつけられないよな、まったく。」
……
「では、前回の授業で練習した問題を使って――」
先生の声が、ほとんど耳に入ってこない。
俺はペンをくるくる回しながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
とりあえず、遅刻は免れた。それだけが救いだ。
「もしかして俺の物語、学園もの……?」
ペンを放り投げ、キャッチ。
「……いや、退屈すぎるかも。でもまあ、死ぬよりマシだな。」
「コホン、ノボル君。」
「――っ!?」
先生が俺を名指しした。
「この問題の答え、言えるか?」
黒板を指差す。
「えーっと……17?」
「……違います。もっと集中しなさい。」
にっこり笑う先生。
あ、これだ。俺、完全にギャグ要員だ。
今、クラス中が笑って――
「昨日の試合見た?」
……誰も見てねぇ。
はあ。やっぱり、笑いも取れない脇役ポジションかよ。
……
「なあ、放課後カラオケ行くんだろ?」
「もちろん! でもちゃんと女の子呼べよ、バカ!」
「お前のせいで毎回男子だけなんだぞ!」
「し、仕方ねぇだろ! ドタキャンされたんだよ!」
……俺はその輪の外で、静かに歩いている。
数学の授業が終わって、少し休みたかった。
「今こそ、魔法生物が現れて学校を破壊し、俺が覚醒――とか起きねぇかな。
……いや、学校が壊れるのは困るな。まあいいか。」
昔から俺は、ちょっとぼんやりしてるタイプだ。
でも一つだけ信じていることがある。
――いつか、俺の人生は“物語”になる。
誰かに憧れられるような、そんな物語に。
今は退屈でも、いつかきっと変わるはずだ。
……
次の授業へ向かう途中で――
「ちょっと! 昨日はあなたと遊んだでしょ!」
「でも一昨日とその前はあなたの番だったじゃない!」
男子一人を巡って女子二人が揉めていた。
「お願い、校内でケンカはやめてくれぇ……」
……ふう。
やっぱりみんな、それぞれ自分の物語を生きてるんだな。
あのモテ男、どう見てもラブコメ主人公だろ。
多分三角関係ルートか、下手すりゃハーレムルートだ。
なんで俺だけ、こんな退屈な人生なんだ。
小さい頃から「幼なじみヒロイン」が欲しいって思ってたけど――
「うるさい! あっち行って!」
……たいていはこうなる。
別に告白したわけでもないのに、なんでだよ。
俺、ただ友達が欲しかっただけなのに。
「はぁ……。」
溜め息をついた瞬間。
「おい、お前、俺たちの前でため息つくとかナメてんのか?」
振り返ると、見るからに不良っぽい三人組。
ロッカーの前に追い詰められる俺。
「な、何か用ですか……?」
「もちろんだ! 成績がいいからって調子乗るなよ!」
「いや、別に良くないです。」
「じゃあ金持ちか!?」
「……貧乏です。」
三人は顔を見合わせた。何故か困惑している。
「ま、いいや。殴っとくか。」
「賛成!」
「ついでに弁当もいただこう!」
「それも賛成!」
「あとバニーガールの衣装着せて恥かかせようぜ!」
「賛成――えっ!?」
一人だけ変なこと言ったやつを、残りの二人が凝視する。
「バニー……ガール?」
「そ、そうだよ! そ、それでこそ屈辱ってやつだろ!?」
……いや、意味分からん。
「ま、どっちでもいいけど。って、あれ? アイツどこ行った!?」
ごめんなさい。
変人三人組に付き合ってる暇はありません。
……でも、もしかして残ってたら、誰かが助けに来てくれて――
「くそっ! そのパターンもあったか……!」
俺はその場で崩れ落ちた。
次回――ノボルは自分の“予感”にどう応えるのか?
お楽しみに




