表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/44

第36話 ブレイク破り

 トビは時間を稼ぐためにも話を続ける。


「あなたのミスは跳んだことだ。上からの攻撃は一見、意表をついた選択に見えるけれど、真上に来たら影でわかる。プラス、落下攻撃は速度が一定になるからタイミングを合わせやすい。因果応報ブレイクの絶好の餌だ」

「けっ。くだらねぇことしやがる。挑発して俺の意識を話に集中させて、後ろから不意打ちってかぁ?」


 クリシュは振り返り、イヴンの盾による突進攻撃を右腕一本で止めた。


「あかん! バレとるわ!」

「完全に気配は消したつもりだったんだけどね……!」

「すげぇ! 盾が喋ってら」


 クリシュは盾を蹴り飛ばす。イヴンは後ずさるも堪える。


「……硬いな。その盾といい、そこのクソガキの籠手といい、どんな素材で出来てやがる」


 ヨタマルが変化した盾には『死』という文字が刻んである。死耐性を得た盾、不滅の盾だ。

 トビとイヴンはクリシュを前後で挟み込む。


「遅いよイヴン」

「アンタが速いのよ!」


 トビはソフィアの姿がないことに気づくが、敢えて口にはしなかった。イヴンが目線でトビを制したからだ。


「お嬢、アイツの耐性は種族耐性の死耐性だけや」

「あらやだ。シンパシー感じちゃうわね」


 吸血鬼になって初めて得られる死耐性しかない。ということは、人間の時は無耐性だったということだ。

 クリシュは流し目でトビを見る。


因果応報ブレイク使い。お前、俺との相性最悪だよ」

「どういう意味ですか」

「すぐにわかるさ。俺はな、その技が大嫌いなんだ」


 クリシュは右足で地面を一瞬で四度踏み抜き、地割れを起こす。


四震脚(ししんきゃく)!!」


 四つの地割れはそれぞれ別のルートを辿ってイヴンの足元に迫る。


「ちょっ!」


 イヴンは地割れに足を取られた。その隙に、クリシュはイヴンを無視しトビに接近した。


(この人は強い。さっきの二度の因果応報ブレイクは相手が油断してたからできたこと……体術は圧倒的にこの人の方が上だ!)

「おらこいよ因果応報ブレイク! 因果応報ブレイク!!」


 クリシュは思い切り拳を引き、トビでも見切れる速度で拳を振りぬいた。


(いける!)


 トビはクリシュの拳に籠手の甲を合わせる。


因果応報ブレイク!!」

三又拳(トライデント)!!」


 因果応報ブレイクは成功した。だが、


「……!?」


 クリシュの口角が吊り上がる。


 衝撃音が三度鳴った。

 一度目は因果応報ブレイクが成功した音。

 二度目は、反射した衝撃がなにかに防がれた音。

 そして三度目は、トビの右腕に衝撃が走った音だ。


 トビの右拳が、弾かれる。


「ちっ。その籠手がなけりゃ腕を持っていけたのによ」

「いま、のは……!?」

「教えてやーんね」


 クリシュはトビの腹を殴り飛ばす。


「ごふっ!」

「このまま撲殺してやる!」

「てかさぁ!!」


 イヴンがクリシュを横殴りし、叩き飛ばす。


「私を忘れんなよコラァ!!」

「引っ込んでろよ嬢ちゃん。後で丁重に犯してやるからさぁ!!」

「はぁ?」


 イヴンはクリシュに追撃を繰り出す。


「下品なこと言ってんな老害!!」

「老害はいいのかよ、老害は」


 クリシュはイヴンの背後に回り、左手で頭を掴んで盾に顔面を叩きつける。


「!?」

「お嬢!!?」

「あんまり傷つけたくないんだよ。綺麗なまま楽しみたいんだからさ……つっ!?」


 イヴンは盾を捨て、クリシュの背後に回り、膝蹴りでクリシュの後頭部を蹴り、顔面を盾に叩きつける。

 鼻血をフンと吐き、治癒術で折れた鼻を治癒させる。


「お生憎様、清純派ってわけじゃないのよ。綺麗な女抱きたいなら他を当たりな、いきりチェリーボーイ」

「やっべ。惚れちゃいそ~」

【読者の皆様へ】


この小説を読んで、わずかでも

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと頑張ってほしい!」

と思われましたらブックマークとページ下部の【★★★★★】を押して応援してくださるとうれしいです! ポイント一つ一つが執筆モチベーションに繋がります! 

よろしくお願いしますっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ