表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CRAFT/Notes  作者: 式式
フェルナンド攻防戦
1/56

プロローグ

 叩く。斧を振った。

 ミシミシと音を立て、巨木が倒れる。

 ……一呼吸を置いて、妥協する。


 木漏れ日が差し込む森との境。

 少しばかりの風が、草木を、光さえも揺らしていた。動物たちの音使いが聞こえてくる程、その森は豊かな姿を見せつける。

 乾いた根元の幹は、ひんやりと体温を奪いながら。

 温度差と少しの風は、こうして横になるのに十分な理由。


 心地よい春の日のような、……そんな日だった。


 樹木を切り倒し。

 余計な枝を切り取って。

 丸太を加工する。


 そんな事が、仕事だった。


 『シェルレッタ。そろそろ行くよ』

 「______日光浴中。もう少しかかりそう」

 『サボってないで早くして?……って言うか、そっちに向かっているから!』

 「……車で?」

 『車で!お客さんも乗せてる!』

 

 荷物は大分収まり、許容を過ぎてこれ以上は運べそうにない。だからこそ自分は迎えが来ることを期待し、こうして午後の時間を有効に活用していたわけだ。仕事にならないのだから働く理由はなく、働く理由が無いのなら、体を休めることが何よりの得策だからである。

 愛用の斧に寄り掛かりながら、囀りに合わせて鼻歌を歌う。

 先ほどまで樹木だったものは、これから価値に代わる。

 インカムから聞こえる声に答えず、作業を続けた。


 切り取られ。

 加工され。

 木材として積みあがった其。


 積みあがった木材たちは、新木の独特な匂いを漂わせる。新築の木造建築を思い出させるその匂いに、多少の眠気を覚えながらも仕事に精を打つ。


 言葉を語る。


 自分の身長を優に超えていた加工品たちは、何時の間にやら小さな玉になって山と成していた。木材だっった証の様に、文様だけが球体に彫られている。

 それらを袋に詰め、先ほどよりも容量が小さいそれを背負い、合流場所を目指すことにした。




 


 森であったその場所は、草原だけを残している。

 懐から、葉巻を取り出し火を付けた。



 煙は、空へと棚引く。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ