No.001 クロ、訓練中に隊長に見つかる
追記:クロの姿はボーイッシュな女性で、見た目は22歳くらい。髪のパーツの色と瞳のパーツの色はどちらも黒色です。
エレンは女性で、歳は25歳。
身長は168㎝。髪の色は紺色で瞳の色は栗色です。
いきなりすみません。
上官に招集され、
『戦争が起こる。戦闘に参加せよ!』
と伝達されてから2週間がたった頃、ワタシはある場所にいた。
(戦争中だと言うのに、この夜空の景色は変わらないな)
星が煌めく綺麗な秘密訓練場で、ワタシは特訓をしながらそう思った。
今、ワタシはある特訓をしている。
内容は、スパークアサルトライフルの弾丸に紅蓮陣を刻んで、連射速度を格上げするというものだ。
この何が難しいのかというと、自分の腕を長時間超高温に晒さなければならないことだ。
紅蓮陣を刻んだ弾丸は、威力と射程を底上げする。
具体的にいえば、威力は従来の約4倍。射程は約2.5倍にもなる。
ただし射出した瞬間、銃の口径のみではなく、全体が熱に晒される。その温度は摂氏600℃。大抵の金属は溶けてしまう。
この対応は、熱耐性の数段回上、融解耐性を持つ武器でなければならない、という事だ。
しかもワタシは機械兵だ。そこの所は細心の注意を払っている。
実際、いい所まで来ているのだが連射速度を上げようとすると熱を排出する機能が間に合わなくなり、過熱して腕がダメになってしまう。もう15、6回はダメにしている。
そして、今日もーー
ブスッ、ブシュ、キュイイイアアア…プスン。
変な音を立てながら、ワタシの腕が煙を上げた。
しかも、頭の中にまでノイズが走る。
かなり不快だ。
「クソッ、またダメだったか…しかもまた腕が逝っちまってる。辛いなぁ、おい。」
自分の独り言が、エコーのように夜空に広がり、吸い込まれていく。
こんな弱音を口にしようものなら、部隊の先輩たちからボコボコにされ、重いペナルティを課せられてしまう。それはこの砕けた口調でも同じだ。
そんなことは、このワタシが一番良く分かっている。ああ、助かった。こんな事を言っても、誰にも聞かれていな
「おうおう。こんな所にいたんか、黒丸。探したぞ。」
・・・しまった、"ふらぐ"とやらを建ててしまったようだ。まさかあまり役に立たないと思っていたこの"異世界語"が役に立つ日が来るとは…
「どうしてここが分かったんだ!」
と、叫びたいのを堪えて、
「趣味が悪いですね、隊長。いつから居たんですか?」
俺はそこにいた人物ーエレン隊長に声を掛けた。
エレン隊長。本名エレン・シーク
帝国ビードの中で"最強"と呼ばれている人間の兵士。
人間だろうと機械だろうと関係なく瞬殺するために、出会ったら生きて帰れない『死の傭兵』と呼ばれている。
帝国や敵国では、冷酷な女性というイメージが強いが、普段はとてもフレンドリーで面白い人だ。
「心外だな、黒丸。指定時間内以外、特に夜の外出は許可が必要だと言っているのに、それを守らないから、この私が直に探しに行くんだろう?」
「『だろう?』ってなんで疑問形なんですか、エレン隊長…。」
「細かいなぁお前は。あと、その『隊長』をやめろと言ってるだろう。『さん』にしろよ。」
「どうして俺だけそういう扱いなんですか!?可笑しいだろ!?」
「おいクロ、もう気軽い口調になっているゾ。あと、一人称が『俺』になってるし。」
「・・・あっ」
「ク、ククク。アーッハハハハハハハ!」
また、エレン隊長はとてもフリーダムでもある。
国の評価では『慎重な性格』と判断されているのに、こんなにも変な人はあったことも無い!
くっそ、こんなんだから俺…じゃなくて、ワタシは苦手なんだ!
ていうか、なんでこの隊長、こんなに自由なんだよ。あなた一応、極秘部隊のリーダーだよね?
「アッハ、アハハハッ、ヒーお腹痛い。」
・・・ホントにこの人は隊長なのか?
信じられない!
と考えていると、隊長から声を掛けられた。
「そういえばお前、また一人称が『俺』になっていたが、なんか理由があるのか?」
「ーッ!!」
一人称が『俺』になっていたのか。
そうだったのか。最近では機械の調子も悪く、どこか不具合が生じるとは思ってはいたが…。教えてくれて感謝する。だが、ワタシは気軽く感謝の意を伝えない。伝えられない。
お気づきかもしれないが、エレン隊長には、オ…ではなく、ワタシが昔から持ち続けているこの世界の違和感、恐怖については話していない。
あまり親交もないため、一体どんな人なのかということさえ、ワタシは知らないからだ。
それに…人間だ。あまり信用ができない。
「まっ、話したくないなら話さなくてもいいさ。だけども…」
隊長が言い淀む。口にナニカが引っかかっているような、そんな様子だ。
「?どうしたんですか、隊長。」
疑問をぶつけたが、
「いや、何でもない。忘れてくれ。」
と言われただけだった。この人間にも、
なにか抱えるモノがあるのだろう。
いつかは聞いてみたいものだ。
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