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ガラクタ機械兵のエンディング  作者: 中峰裕也
第一章 泥沼戦争
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プロローグ:イレギュラーの誕生

 

  戦争が絶えない情報世界(せかい)。血を血で洗い、戦場では常に血と鉛、死の臭いが漂っている。そんな場所で、このワタシは開発(うま)れた。

 ワタシが覚えているのは、培養液カプセル(ははおや)の愛情を沢山受けて育ち、どこの馬の骨だか知らない大人に母が殺され、その殺した大人を自ら殺めた事だ。

  国の極秘部隊に拾われてから今日この日まで戦場の最前線を駆け回っている。


  ◆


  そういえば、ワタシには"性別"というモノが無い。あと、母さんの顔も解らない。どうしてだ?

 自我を持ってから直ぐに抱いた疑問だ。


 なんでワタシにはその記憶がないのだ?母さんから産まれたということは、少なからず性別があるはずだ。

 それなのに何故?

 こんな事を疑問にしているのは私ぐらいのようだ。


 戦争に行く際、仲間たちは必ず『母さんとこの国のために!!』と一致団結、叫んでから戦闘(じゅんび)する。

  これに、ワタシは恐怖を感じた。何故、顔も知らない、会った記憶もない赤の他人の為にそんなことを言えるんだ。


  「見てはいけないものを見た」


  そう錯覚するのに十分すぎる体験だった。


  ◆


  また、極秘部隊(ココ)に来てから、ワタシが教わったことがある。


  『戦争は日常であり正義だ』


  この世界では、この言葉が常識の代名詞である、と。

 何故そんなことを教えてくれるのか、とヒトの上官に質問をしたら、


  「お前はロクに勉強や常識を教えられていないだろう。だからだ。」


 と言われた。解せぬ。ワタシには常識がないとでも言いたいのか。


  そんなことを思いながら、数多の日々を過ごしてきた。

  だがしかし…ワタシはこの事にずっと疑問を持ち続けてきた。本当に?本当にそうなのか?


 この疑問を仲間や先輩に話したのだが、誰も取り合ってくれなかった。


  むしろ、「大丈夫か、お前?」と本気で心配されたほどだ。そういうものか、と納得したのだが、


  戦争で他国へ侵略する際に自国と敵国の人々を見たが、誰もが悲壮な表情(かお)をしていた。


  アレは戦争することを正義だと誇っていないのは明白だ。


  しかも、だ。戦争で死んでしまった筈の上官や同期や先輩の機械兵(サイボーグ)、数多の民が次の戦争の時には復活、いや、()()()()()()()


  この現象には流石におかしいと思った。そう思ったのはワタシ以外にもいたようで、共に上官に質問したのだが、無言だけが帰ってきただけだった。


  また、その日のうちに共に質問しに行った同期は消息を絶っている。

  今も行方がわかっていない。もう15年以上前のことだ。


  ◆


  何かがあるとは掴んではいるが、証拠がないために何も行動を起こせていない。この世界は何かがあるとしか思えない。


  いつかは必ず、この疑問を解明してやる。消息を絶った仲間のためにも。


  ワタシが持つ苦悩のためにも。

  絶対に。


 ◆


  そういえば、自己紹介をしていなかったな。

 ワタシの名前は…無い。名前の代わりに「Code(コード)」というので呼ばれている。


  改めて、ワタシの名前はCode960。

 同期や先輩、新入りからは「黒丸」や「クロ」と呼ばれている。機械兵(サイボーグ)だ。


  ワタシがいる国は、帝国ビードという。

 名前からわかる通り、独裁国家。貴族と王族が最高の身分で、それ以外は全てゴミのように扱われている。


  平民と下民という身分の差もあるのだが、どちらも協力して生きている珍しい光景がよく見られる。


  また、食料自給率が15%となかなかに高いのにも関わらず、食料品を王族と貴族が独り占めしてきているため、高い身分と低い身分での死亡率が天と地くらいの差がある。


  まぁ、ワタシが不満を持っても何も変わらないのだが…。

 ちなみに、ワタシは貴族の扱いになっている。

 理由は機械兵(サイボーグ)だからだという。


 ◆


  あとは、この世界についてだ。この世界には、5つの国がある。


 北には自然豊かで森と共生をしている国、アイヴェロ。


 東には近代的な都市が多く"異世界"との交流が盛んな国、それが我が国、帝国ビード。


 西には手付かずの古代文明の遺跡が多く、それを利用して生活を行っている民族の国、アイマラス。


 南は海の上にポツンと浮かんでいる島国でこの世界最大の貿易国ヨグ。


 そして、東西南北どちらにも属さない都市伝説的存在の中央国、アヴァロン。


 これらの国でこの世界は成り立っている。

 だが、今も昔も戦争をしているこの状況にとって、国の存在などどうだっていいだろう。


 ◆


  だがまぁ、こんな歪な世界でもワタシはそれなりに楽しめている。

 そして、これはこれからもずっと変わらないと考えている。

 故に愚痴をこぼしても無駄だとも感じている。

  そう思いたかった。


 だが───

 ──その思いも虚しく、砕かれることとなる。

  これかワタシが経験する、数多の戦争と旅によって。


はじめまして、中峰という者です。

今回が初投稿なので、暖かい目で見守っていただければ有難いです。

投稿もバラバラなので、そこの所はごめんなさい、ご了承ください。

それでは!

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