第1のセカイーミドリの断罪ー
「僕はハヤト」
やっと名乗ることができた。
ナルを見ると何かを呟きながら周囲を見回している。
「うわ、これでしばらくは大丈夫かな?」
「ハヤト、あなたのことを聞かせてもらえる?」
いきなりですなおねーさん。
まぁ隠すことも無いので事の経緯を説明する。
とかっこよく思ってみたが・・・
「修学旅行に出発したはずが、何故か森にひとりで居たんだ。」
三行どころか一行で説明完了!
「そう・・・もうそんな時期なのね。」
ナルは何か知っているのか?
「私はこの森と泉の守人・・・そう言えば聞こえは良いけど」
目を伏せて呟く。
「この緑の呪縛に捕らわれているだけ。」
「私はこの森と泉からは離れられない。」
「その代わり森と泉に守られてもいる。」
「共に命を分け合った存在なの。」
「ナルはここから出たいと思う?
僕は聞く。
「森の外のことは何となくしか覚えていない。」
「でも、遠い昔に仲間が居たのは覚えてる。」
「他には思い出せないの。」
ナルは辛そうになってきている。
ナルの言葉を遮りに僕の話をする。
学校のこと、放課後のこと、カラオケやゲーセン。
仲間達のこと。
仲間・・・仲間・・・?
なんで僕は今一人なんだ?
修学旅行はみんなで行くんじゃないのか?
ー疑問ー
なんで修学旅行なのに僕は一人なんだ?
なんでナルは修学旅行の事を知っている?
そんな中ナルは僕の聞こえない声で小さく呟いた。
「私は森の罰を受けている・・・」
その一言で僕は決心した。
「ナルと森の外へ行く!」
「え?どうやって?」
「分からない、でも僕は決めたんだ」
ナルの手を取り歩き出した。
今は分からないけど、きっと方法はある。
僕は確信を持って森の奥へ進んだ。