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一話

だ、明るくなりきっていない道路。誰もいない、通学路。空を見れば、綺麗な朝焼け・・普段と同じ通学路のはずなのに、別の道みたいだ。自転車からくる風も心なしか爽やかで、微かに残った夏の香りを運んでくれている。そんな感傷に浸りながら、学校に着くと校門が閉まっていてまだ入ることが出来なかった。


「え・・もう五時過ぎてるよな・・確かあいつに五時に来いって言われたと思ったけど・・」


時計を確認しながら、校門の前をウロウロして、時間を潰していると俺のポケットの中の携帯が振動した。名前を確認すると、七瀬もみじと表示されていた。もしかして、学校の門の鍵はこいつが管理してるのか?もし、そうだったらこいつとか呼ぶのやめて七瀬様と呼ぼう。そしたら、俺の認知度が多少上がるだろうか・・上がらないな。


「もしもし、今どこで何してるの?」


慌てて電話にでて、とりあえず質問をぶつけた。あまり長話はしたくないのだ。


「あっ!先輩ちゃんと起きててくれたんですかぁ、嬉しいです!!」


何回聞いても、甘ったるい声だ。耳をくすぐるようなこの感じが電話だとより強く伝わってくる。これ絶対、もみじだって知らないででたら即、惚れちゃうレベルでかわいい声だ。しかしもみじだと分かると、その声の魔法にもある程度耐性がつく。だって、どっからどう見てもあざといでしょ、こいつ・・


「まず、僕の質問に答えてくれない?」


俺は人と話すときなんでか俺って言えない。家とか、もみじの前だと多少は強がれるのだが、他の人が相手だと上手く話せるかどうか以前に、目を合わせることすら危うい。もう少し、早く人と話始めるべきだったようだ・・


「えっとー、それ本気で言ってるんですかぁ?」


ここでまず、断っておくが俺ともみじの間に恋愛感情は全くない。確かに、グッとくる場面がないわけではないが・・それはおいといて、そういうのあったら困るし。そんなこんなで辺りをキョロキョロしてもみじを探していると、ふと背中の方に柔らかな感触が広がった。唾をゴクリと飲み込み振り返るとそこには予想どおり、もみじが立っていた。


「先輩っ、寝ぼけてるんですか?そんなに驚かなくてもいいと思いますけど・・」


ほんとにこいつは・・目線をそらして知らんぷりをする。知らんぷりっていうか、軽い無視だ、うんそうだ。


「もぉ!軽く押しただけなのにそれはひどいと思うんですけど!!」


押されただけっていうのはもちろんわかっている、押された時に手、ちっちゃいとか、力弱いだとか確かに思ったけど、さっさと耐性を発動してこの魔法から目を覚まさないと・・軽く深呼吸して気持ちを落ち着かせる。大丈夫だ、こいつは七瀬もみじただの後輩だっ!そんなことを頭で繰り返す。


「別に、怒ってたりはしないから安心してね。んで、どうして門がまだ開いてないの?」


颯爽と次の話題に切り替える。元々、ここに来たのはこいつが朝練に付き合って欲しいって頼んできたからなのだ。こんな、甘ったるいイベントなんて本来は発生しえないものだったのだ。


「あ、すみません・・学校開くの五時半からなんです。先輩なら寝坊しかねないと思いまして」


彼女は敬礼の姿勢を取り、冗談っぽくほのめかして言った。確かに、今朝軽く事件みたいなことは起こったけども・


「そっか・・それならしばらく二人きり・・だな・・」


やっぱり、なんだかんだ言って意識してしまう。ふと、横を見るとセーターで隠された手を口の前に持って行っていた。確かに今日は9月にしてはかなり冷え込んでいる。ほんと、女子のスカートというのはこういうとき可愛そうだ。曖昧な僕の知識では女子はいくら寒くなろうとも足をカバーするものが靴下程度のものしかない。仮に、寒さにこらえきれずジャージのようなものを着用すれば、クラスの男子に「まじ、ありえないんだけどー」とバカにされる。本当にそういう部分はかわいそうだと思う。まあ俺はスカート賛成派なんだけども。そんなしょうもないことを考えて時間を潰していると、重要なことを尋ねるのを忘れていた。


「それで、今日はなにをするんだ?」


そうだ。今日は彼女の練習の付き合いに来たのだ。こんな甘ったるい時間を過ごす必要なんてないはずだ。もし、俺がこうやってもみじと仲良く・・しているように見えてるのかは知らないが。見られたら、俺はともかくもみじの評判を下げてしまう。


「えっと、私陸上やってるじゃないですか?」


え?陸上やってんの?今、はじめて聞いたんだけど・・確かに運動神経良いとは聞いてたけど・・


「お、おう。そうだね。そんで、どうしたの?」


とりあえず適当に知ってる振りしとけば、こういうのはどうにかなるだろう。


「朝練来てるの私だけなんで、タイム測ってください!」


い、意外とまともな仕事で安心した。正直、グラウンド整備ぐらいは、覚悟してたんだけど。


「それなら任せて。お・・僕が測っとくから」


こういう時にもっとかっこよく話したり出来ない自分を海に沈めてやりたい。せめて、こいつの前ぐらいでは俺と自分のことを呼べたらいいな。

そんなことを考えていると、ガラガラと音がなり学校の門が開いた。


「枢木くんに青春ラブコメは早すぎるだろうか」一話を読んでいただきありがとうございます!

うちだあかねです。只今、風邪を引いておりますのでさらに文字数が減っております。

そのため、更新ペースに支障をきたす可能性があります。申し訳ございません。

まだまだ未熟者ですので、感想、ご指摘などよろしくお願いします!


*なおこも作品はカクヨムにも掲載されています。 うちだあかね

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