第7話 ダンジョンにいた訳
「カレーって、すごくおいしかった!」
「うんうん!」
ラルガとユキは大満足の夕食に、興奮してサーシャに感想を言っている。
「二人ともよかったね」
サーシャは笑顔で二人の相手をしている。
「みんな満足したかい?」
俺はヴァルキリーたちや楓とパルナに視線を向けると
「はい、満腹です」
答えたのは楓だけだ。他のみんなはお腹いっぱいで動けないようだ。
それにしても、食べすぎだろうに…
「サーシャ、今日はラルガたちと寝てくれ。他のみんなは『送還』!」
サーシャ以外のみんなは召喚陣の中に消える。
ラルガとユキはみんなが消えたことをサーシャに聞く。
「お姉ちゃん、みんなは?」
サーシャは二人の頭をなでながら
「みんなは自分のお家にかえったのよ」
ユキは不安そうに「明日また会える?」と聞き返すとサーシャは笑顔で
「ええ、明日また会えるわよ」
その言葉にホッとするユキ。
「サーシャたちは2階のベッドを使ってくれ、俺は1階で寝るから」
「は~い、じゃ行こうかラルガくんユキちゃん」
二人はサーシャと手をつないで2階へ上がっていった。
俺は夜の裏庭に出ると、あるものをワクワクしながら召喚する。
「召喚【キャンピングカー】」
召喚陣から出てきた最新のキャンピングカー、俺はさっそくドアを開けて中へ。
中へ入ってその内装に驚く。
「最新のものはすごいな…」
俺はベッドに横たわると毛布をかぶりそのまま眠る。
朝の陽ざしがまぶしく、いつものように目が覚める。
キャンピンカーの中のキッチンの流しで顔を洗うと、
タオルで顔を拭きドアを開けて外に出る。
外に出るとサーシャが待っていた。
「おはようございます、マスター」
「おはようサーシャ、あの二人は?」
俺はキャンピングカーを送還しながら聞くと、サーシャは笑顔で
「もう起きて朝食を待っていますよ」
「なら、朝食のサンドイッチを出そう」
俺たちがリビングに行くと、すでに椅子に座って待っているラルガとユキ。
「おはよう、ラルガ、ユキ」
「「おはようございます」」
朝食のサンドイッチを召喚し、食べ始めた二人。
みんなでの朝食を終えると、飲み物のお代わりを召喚して話を聞くことにした。
「さて、君たちに聞きたいことがある」
「…うん、なぜ僕たちがダンジョンにいたのかだよね」
ラルガは隣に座っているユキの手を握ると
「…僕たちは閉じ込められたんだ、あのダンジョンに」
「閉じ込められた?」
サーシャがそっと声を出す。
その声に、ラルガが頷いて答えていく。
「僕たちが暮らしていた集落は、あのダンジョンの北にある。
猫人族の集落で、みんな暮らしてた。
でも2日ほど前、『ベルガルナ王国』の貴族が兵隊を連れてやってきた。
それで、子供を人質にして集落の人たちにダンジョンの攻略を脅したんだ。
大人たちは、みんなあのダンジョンへ入っていった……」
「そんなことが…」
サーシャはラルゴとユキの手を握ってあげる。
「それから、1日たって貴族は僕たちをダンジョンの中に入れて、安全を確かめて来いって…」
「それでダンジョンの入り口付近にいたのね」
「サーシャ、中の魔物の数はどうだった?」
「入り口から下への最短通路付近は、少なかったわね」
ラルゴとユキは俺たちを不安そうに見つめる。
「なら、貴族たちの狙いはダンジョン下層の宝物かな…」
サーシャも頷く。
「…ラルゴ、俺に依頼しないか?」
「え?」